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多様な人材の活躍を促すために
育児・介護に関する制度利用者を部下に持つ管理職のマネジメントの現状と課題
●社団法人日本能率協会経営研究所
日本能率協会経営研究所では、育児や介護に関する制度を利用している部下を持つ管理職を対象として、その制度利用者のマネジメントの現状と課題についての調査を、インターネット・アンケートサービス「goo リサーチ」を利用して実施した。回答数528 名。
まず部下が利用している制度の割合は、育児が83.3 %、介護が31.8 %(複数回答)で、その内容については、「短時間勤務」や「残業免除」、「有給休暇制度」など、労働時間の短縮が挙げられた。
続いて、育児や介護の制度を利用する部下を持つことに対する抵抗感について聞くと、「全く抵抗感はない」と「あまり抵抗感はない」を合わせて、抵抗感を感じていないという答えが全体の7割を占めた。
一方で、制度利用者がいることで「他のメンバーへの仕事の負荷が増えている」や「所属する部門の仕事量に対して人員が少ない」、「制度利用者への仕事の配分が難しい」、「制度利用者に任せられる仕事は限られている」と感じる管理職は全体の6割以上いることがわかった。
制度利用者に対する管理職のマネジメントに関する問いには、「制度利用者がいることで、他のメンバーに何らかの配慮をする必要がある(63.6 %)」や「制度利用者に対する人事考課は難しい(50.4 %)」、「制度利用者を部下に持つことは、管理職として困難なことだ(47.0 %)」、「制度利用者を適切にマネジメントできないと、管理職としての評価が下がる(63.8 %)」という回答結果となり、多くの管理職が制度利用者をマネジメントすることに悩んでいることが浮き彫りになった。
しかし、同時に制度利用者がいることで「管理職としてのスキルが向上した」や「社員がお互いに助け合う風土ができた」と感じるという回答も、それぞれ55.1 %、67.0 %と多く、管理職にとって制度利用者をマネジメントすることが、スキルの向上につながっているといえる。
管理者を支援する手引書やマネジメントに関する研修、制度利用者を持つ管理職同士が相談し合える仕組みについて聞くと、利用した人の多くが役に立ったと答える一方で、手引書や研修、相談し合える仕組みそのものがないとの回答も多かった。
最後に、企業の風土と業績に関する分析で、多様な人材の活躍で業績が向上する会社では「経営理念を社員が実践している」「自由に意見を主張できる風土がある」「学習する風土がある」などの風土が、社内に根付いていることがわかった。
上記のアンケート結果から、経営者は社内に会社の理念や風土を徹底させ、人事部は管理職の悩みを排除する仕組みを整備することが、今後の課題といえるだろう。
問い合わせ
社団法人日本能率協会経営研究所 担当:海老原
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