Close Up CS 調査の現場から 部門の壁を取り払い お客様満足度調査(CS 調査)を活用する お客様満足度調査を いかに使うか・役立てるか
“お客様満足度調査”を実施しても、多くの企業がそれを活用できていないのが現状だ。
財務的なKPI(重要業績評価指標)を上げるためには、お客様の支持を上げる必要があることが認識され、お客様第一主義が注目されている現在、“お客様満足度調査”をどのように利用し役立てたらよいのか。その有効的な使い方と、注意しなければならない落とし穴について、具体的な事例を挙げて解説していこう。
ほとんどの企業が収集した声を活用できていない
現在では業種を問わず、ほとんどの企業が“お客様満足度調査”を実施している。しかし「お客様の声を吸い上げ、業務プロセス改善に活用する」と言うのはやさしいが、実行するのは簡単ではない。収集したお客様の声を「十分に活用できていますか?」と質問すると、「はい」と自信を持って答える企業はかなり少なく、ほとんどの企業は「お客様の声は収集しているが、活かしきれていない」と答える。
この回答は、人事・人材開発部門の方々の「肌感覚」とも一致するのではないだろうか。“お客様第一主義”を標榜するものの、現場にはやはり、部門ごとの業務目標達成が課せられる。いざとなれば、売り上げが優先される……というのはよくある話だ。
しかし、お客様満足度向上は無意味なのか、といえばそうではない。ここにきて、再び“お客様第一主義”が注目されているのは、それなりに理由がある。長い不景気を乗り越える過程で、日本企業は体質改善に取り組み続けてきた。その中で経営に対する組織のスタンスが大きく変わってきたのだ。
現在では経営戦略を実現するために、経営品質やバランススコアカードなどのスキームを導入し、必要な経営指標を設定し、各指標の目標値を決めて、その達成に取り組むといった戦略策定・実行プロセスが一般的になりつつある。その中で財務的なKPI(重要業績評価指標)を上げるためには、お客様の支持を上げる必要があるという事実が、再認識されるようになったのだ。
しかも、かつてのような「挨拶運動」「電話はコール3回で取りましょう」に代表される、表面的な取り組みでは不十分であるとの認識も定着した感が強い。より根本的な業務プロセス改善にまで踏み込む、本質的なCS 向上活動の必要性が、強く認識されている。