企業事例 ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ “Best For The Guest”の 理念を基にCDを追求する CSとES を軸に 個人をエンパワーメントする組織へ
現在、ホテル業界はかつて例のない競争環境に突入している。
その中、ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツでは、こうした認識のもと、CS(顧客満足度)とES(従業員満足度)を切り口にした付加価値アップに取り組んでいる。同社ではCS、ESにどのような意義を見出し、どんなアプローチで未来図を描こうとしているのか、同社常務取締役の朝倉博行氏に話をうかがった。
チェーンブランド確立で、さらなる付加価値アップを目指す
ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは、2000(平成12)年11月に三菱地所が100%出資して設立された企業である。従来、三菱地所が所有・経営を行っていたホテルチェーンの所有と経営を分離し、各ホテルの経営・運営を一元的にマネジメントするホテル統括会社として設立されたものだ。
現在、同社は業務委託を受けているホテルザ・マンハッタン(千葉県千葉市美浜区)を含め、仙台ロイヤルパークホテル、ロイヤルパークホテル(東京都中央区)、ロイヤルパーク汐留タワー、横浜ロイヤルパークホテル、ロイヤルパークイン名古屋の6ホテル(総客室数2056室)の経営・運営を行っている。
三菱地所は従来、都市開発などの一環(都市機能の1つ)としてホテルを建設。その運営を実績のあるホテルに任せるという形で、ホテルビジネスに参入してきた。ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツの設立は、こうしたやり方を大きく転換させたものといってよい。同社の営業開始は、設立の翌年(2001年)の4月1日だが、この日をもって、名古屋第一ホテルからロイヤルパークイン名古屋へ、横浜ロイヤルパークホテルニッコーから横浜ロイヤルパークホテルにそれぞれ名称を変更。「ロイヤルパーク」というブランドのもと、独自のマネジメントにより、そのブランド力を発揮していこうというのが、そのねらいである。
同社常務取締役の朝倉博行氏は、同社の設立準備を進めていた90年代末から、チェーンマーケティング戦略に関わってきたが、同社がもっとも力を注いできたことは、チェンジマネジメントによる新しい付加価値とブランドの創造であるという。
CS(顧客満足)を超えたCD(顧客歓喜)の実現を目標に
朝倉氏の語る課題の背景にあるのは、21世紀になって激しさを増している大都市圏のシティホテルの市場環境である。ご存じのとおり、特に東京を中心とした大都市部では、外資・国内資本によるホテルの新設や、リニューアルオープンが相次いでいる。
ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツでは、チェーン機能を強化するために、2004年7月に国内資本のホテルチェーン初の「集中予約センター」を開設。このシステムを利用して、国内のみならず世界各国のインターネット上のポータルサイトからも、直接予約することができる仕組みをスタート。また、2006年4月には、伊豆旅館組合のうち23旅館で組織される「THEOKAMI」と業務提携し、宿泊予約の受配信業務を開始するなど「差別化」に積極的に取り組んできている。
もう1つの柱は、「ロイヤルパーク」というブランドに象徴されるホテルのサービスの一体感をどのように追求していくか、ホテルチェーンとしてのメリットを引き出しながら、これまで以上の競争優位を確立していくことである。「Best For The Guest」という共通の理念を打ち出し、CS(顧客満足)を超えたCD(Customer Delight、顧客歓喜)の実現をめざすという共通の目標を立てた。