企業事例 アサヒビール キーワードは「新・成・気:結束」 10 年、20 年後も活き活き 働ける会社を目指し 今後は“風通し”に注力
日本における「働きがいのある会社」調査で10位にランクされたアサヒビールは1999年より『社員満足度アンケート』を行ってきたほか、労働組合による独自のアンケート調査も毎年2回行っている。
従業員満足度への関心と意識の高さを、企業体質として取り込んできた試みと今後の課題、それを乗り越える人事制度・人材開発の展開をお聞きした。
日本企業の働きがいのある会社第10位にランクイン
日本における「働きがいのある会社」調査で10位にランクされたアサヒビール(「日経ビジネス」2007年2月19日号)。その調査を行ったのは、アメリカを本拠にグローバルな活動を展開するコンサルティング団体GPTW(Great Place to Work® Institute)の日本法人・GPTWジャパンだ。日本での調査は初の試みだった。
本家アメリカのGPTWによる「働きがい調査」は20年以上の歴史があり、その結果はアメリカ経済誌『フォーチュン』に「働きがいのある会社ベスト100」として発表されてきた。これまでに調査に加わったのは世界29カ国、企業総数にして3000を超える。アメリカでベスト100にランキングされることは“一流企業の証”としての社会的認知を得ており、事実、ベスト100に選ばれた企業は業績が順調、株価も高水準で推移していることから、GPTWの調査結果に対する日本での信頼性も高い。
GPTWの調査が注目される理由はほかにもある。「働きがいのある会社が企業の競争力を高める」とする、従業員重視の経営が世界的な潮流となり、その達成度を測る指標が求められるようになったからだ。
GPTW調査が検証したアサヒビールの強み
アサヒビールがそのGPTWの調査を受けた狙いは3つ。人事部の吉村肇統チーフプロデューサーはこう語る。「1つめは、これまで自社で行ってきた『企業風土診断アンケート』の結果を検証したかったこと。2 つめは、GPTWの調査が従業員満足度にフォーカスした(絞り込んだ)調査だったこと。3つめは、よく言われる社員満足度が高い会社が好業績につながっているということで、当社の満足度を、検証したかったことです」
同調査の結果は、予想通りのものだったという。
「我々の自覚する『連帯感』や『会社に対する誇り』といった強みが、社員の目から見て果たしてどう映るだろう。そんなふうに結果を興味深く見守っていたのですが、予想通り、その部分での満足度は非常に高かったですね。ある意味、当社の企業風土診断アンケートを補完するような結果だったので、いい検証になったと思います」
もとよりアサヒビールには、伝統的に「会社が好きだ」「会社に誇りを持っている」などといった社風が古くから根づいており、今回の調査はそれをいみじくも証明した結果となった。とくに最後の「あなたはアサヒビールで働くことについてはどう思いますか?」という総括的な質問で高得点を得たことに、安堵と自信のほどがうかがえる。