My Opinion ― ④ 社員意識調査を活用した 組織の活性化
社員意識調査は、組織を活性化させるための道具である。
したがって、関係者(経営者・企画スタッフ・従業員)が使いやすいように設計をする必要がある。
「調査を活用して活性化を実現する」という目的を基に社員意識調査の現場から、具体的な設計の考え方、解釈プロセスの実例をあげる。
社員意識調査を組織活性化の活動に埋め込む
社員意識調査を活用して、組織の活性化を実現するためには、「活性化を導く活動」をきちんと定義した上で、そのための道具として、意識調査を位置づけることが不可欠である。「組織の活性化」は、勝手にわいて出てくるようなものではなく、明確な意図に基づく活動や施策に「導かれる」ものである。その活動を推進したり、関係者が活用したりするための道具の1つが「調査」なのである。
ここでは、「どのように活性化の活動を定義するのか」「その中で、誰がどのように調査を使うか」、そのための「調査の設計思想をどのように持つか」といったポイントについて説明する。
目的とキーになる関係者を決める
まず重要なのが「活性化とは何か」、それに対して「誰がどのように解決する課題なのか」ということを描いておくことである。そして、何のために、どのような関係者によって、どんな協力の下に、何をアウトプットするか、という目安を事前に見積もっておくことが必要になる。
活性化ビジネスは、経営者、ラインと巻き込むメンバーが多岐にわたる。それだけに、それらの関係者をどう巻き込むのか、調査チーム内で対話しながら、よく、深く考えることが、活性化活動のコンセプトを固め、現場で調査が活用される可能性を高めていくことにつながるといえる。
日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)では、活性化活動のキーになる関係者を、次の3種類の人々に規定している。
① 経営者
② 企画スタッフ
③ 従業員
経営者やスタッフがメインの関係者であれば、トップダウンでの政策意思決定やビジョンの浸透に関する活動を扱うことになるだろうし、それが従業員だとすれば、ボトムアップで職場単位での「自律的な改善活動」の促進、といった活動になるだろう。
そこで、3つの立場の人が、対話を通じて協力・調整を重ね、ある特定の「活性化」という状態に向かってどのように活動していくか、ということの青写真が必要になる。そうでなければ、たとえ「調査」を行っても、「意図的な」活性化の実現は難しい。