米国のHRD 現場レポート 女性リーダーシップ・カンファレンスレポート
カンファレンス・ボード主催「女性リーダーシップ・カンファレンス」が3月29~30日にアメリカ、ニューヨークで開催された。今年は大手企業を中心に、人事・教育担当者やダイバーシティ担当者、女性コミュニティ主催者、約200名が参加。女性幹部・管理者の登用、能力開発、キャリア開発、動機づけ、エグゼクティブ・コーチングの活用、ネットワークづくりなどの事例発表やパネルディスカッションが行われた。
米企業における女性登用の課題
ここ数年、多くの米企業が課題ととらえ、取り組んでいることが2点ある。トップへの女性の登用と、有色人種の女性の活用だ。
(1)トップへの壁
「女性を配慮した施策が導入されるようになりましたが、トップへ昇進できない状況を考えると、このカンファレンスを継続して開催する意義を感じます」。カンファレンス・ボード、プログラムディレクター、メアリー・べナー氏が語るように、90年代から女性の活用は進み、管理職の女性の割合は高まったが、依然として、企業の最高意思決定の場に踏み込めないもどかしさは続いている。
現在、アメリカにおける20歳以上の女性の就業人口は6500万人、男性が7500万人。それに対して、フォーチュン500社(米売上上位500社)の女性CXO(CEO、CFOなど、取締役会から選出・指名されたエグゼクティブ)の比率は15.6%(2007年女性のキャリア支援団体、カタリスト調査より)。また、男性のスタッフ職とライン職の割合がほぼ半々という状況に対して、女性はスタッフ職71%、ライン職29%。ライン職の経験がトップに登用されるためには必須と考えられていることからも、トップ昇進を意識したキャリアパス、配置や能力開発に焦点が置かれているのである。