インストラクショナルデザイナーがゆく 第3回 アトランタで初体験。 美術館のインフォーマル・ラーニング
初夏の恒例行事。アトランタのASTDに今年も参加
今年も6月1 日から1週間、米国アトランタで開かれたASTD2007 International Conference & Expositionに参加した。ASTD とはAmerican Society for Training and Development の略。直訳すれば『米国研修開発協会』なのだが、米国だけではなく、世界中から約8000 人もの人材育成のプロフェッショナルたちが集まる、年に一度の国際的なイベントである。さまざまなテーマのセッションに参加し、議論を戦わせる人材育成のプロたちを見ていると、まるでHRD 界の“格闘技世界一”会場みたいで、普通の学会とはちょっと違う興奮と刺激に満ちている。毎年参加していると、「やぁやぁ、元気だった?」という感じの“お馴染みさん”も増え、「チョーまずい!」ことで定評のあるランチも、どこか懐かしい味になる。
ASTD では期間中200以上ものセッションが開かれる。だから、よほどインパクトのある内容でないと、次から次へとセッションのハシゴをしているうちに、忘れてしまう。“忘れられないセッションかどうか”というのが、ASTD の(たぶん)もっとも的確な評価法だと私は思う。そういう意味で、今年もっとも印象的で私的評価の高かったのが、『美術館が教えてくれるインフォーマル・ラーニングの魅力』というセッションだった。
『インフォーマル・ラーニング』という言葉は数年前から頻繁に使われているが、“Unlock the Knowledge”(知識を解き放て!)がメインテーマである今年、新たな視点で注目された。ラーニングの多様化、個性化、スピード化、効率化、日常化が求められている昨今、“教育トレーニング”という枠組みには収まらない活きのいい情報の発信、共有、発展、活用をどのように進めていけばよいのか?
システムの構築、ツールの開発等々、さまざまな角度から語られたが、中でも一番おもしろかったのが、もっともアナログなこの『美術館ツアー』である。