連載 コンプライアンス教育を考える① 「意識、知識、常識」で不祥事から会社を守る
連日のように企業不祥事が報道されているが、その内容を見ていくと必ずしも同じ質の不祥事ではないことがわかる。
なぜ不祥事を起こしてしまったのか? どうすれば避けることができるのか?
2回連載の第1回では、倫理・コンプライアンスの視点から企業を5つに類型化して多発する不祥事の違いを明確にし、その対処法を考える。
続発する企業不祥事
新聞やTVでは、トップが頭を下げる姿がほぼ毎日報道されています。しかし、その絵柄の背景には、それぞれ違った事情があります。不注意から運悪く大きな問題になったものもあれば、経営者自身や会社ぐるみの不正の問題もあります。慣行になっていた行為が、突然、違法として大騒ぎになることもあります。
報道では、誌面や放送時間の関係で、何でもセンセーショナルに扱ってしまうので、すべてが悪徳企業のように思えるわけですが、もちろんそんなことはありません。
そこで今回は、これらの違いを考えるガイドとして、まずは企業を倫理・コンプライアンスの視点から、5つに類型化してみようと思います。
①CSR(企業の社会的責任)志向企業
②状況対応型企業
③違法常態企業
④脱法企業
⑤合法装い違法企業
①CSR志向企業
経営理念で倫理的にビジネスを行っていくことを謳い、そしてそれが実際の意思決定や個々人の行動の際に重要な判断基軸となっている企業です。これらの多くは歴史があり、利益も生み出している優等生企業です。そして理念的に行動する(顧客を大事に、取引先を大事に、従業員を大事に)ことが、市場での優位性を確保する原動力になっており、利益の創出にもつながっています。企業倫理と利益が補完関係にあることを常々発信する優等生タイプの企業です。ジョンソン・エンド・ジョンソンなどが知られています。
しかしながら、これらの企業群は、新しいテクノロジーの発生などで競争力を失ってしまった際にも、果たしてCSR重視を継続できるのでしょうか?