column メーリングリストの活用 必ず“何か”が返ってくる仕組みが コミュニケーションを活発化させる
ITにより多様なコミュニケーションが可能になった昨今。
しかしそれに慣れ過ぎてしまったがゆえに、コミュニケーション不全をプラットフォームのせいにしてはいないだろうか?
ここでは、ある企業OB・OGの間で活発に行われ、累積投稿数が20000件を超えているメーリングリストを紹介する。
メンバーの共同体意識を利用し、機能を運用でカバー
アクセンチュア(元・アンダーセンコンサルティング)を退職したOB・OGにより1997年6月に開設されたメーリングリスト(ML)グループ「ex-ac」は現在、1200名を超えるメンバーのもとで運営されている。キューフォーで代表を務める磯島大氏も、早い段階からメンバーとして参加している1人だ。「軽い感じの情報交換の場にしようというのが開設のきっかけです。現在もその本質的な部分は変わっていません。ですから、いろいろな話題が飛び交います。ビジネスで言えば、“こんなプロジェクトが立ち上がるからリソースを募集しています”というものや、“○○に詳しい人はいませんか”というメールが来たりします。そうかと思えば、“ゴルフへ行きましょう”とか“コンサートのチケットが余っています”というメールも来ます」
この「ex-ac」は通常のMLなので、SNSのような豊富な機能が備わっているわけではない。実際のところ、SNSのコミュニティをイメージしてもらえるとわかりやすいと磯島氏は語るが、SNSでいうところのトピックはメールの件名(Subject)しかない。それが変わらないまま話が途中で二転三転してしまうこともあるという。そんな状態で、活発なコミュニケーションが図られている秘策が気になるところだ。「やはり何らかの共通意識を持った人間の集まりであることが大きいでしょう。我々のMLでは、アクセンチュアに1年以上在籍し、かつ既存メンバー2名以上の紹介によって参加が承認される仕組みを採っています。それだけで、まったく知らない人同士では持ち得ない共通意識を持つことができていると思います。文化を共有しているともいえるでしょう。また、コンサルタントは会社に在籍している時でも、プロジェクト単位で動いたり、個々にクライアントのところへ出向いたりして、バラバラに動くことが多い仕事です。それでも会社にいれば情報のやり取りがあるのですが、独立したり他業種に移ると、その恩恵を受けることが難しい。その代わりとしての役割も、果たしていると思います」
社内外にかかわらず、共通の意識や文化を持つ者同士であれば、プラットフォームに依存しない形でのコミュニケーションが可能であること、そして目的や参加メンバーの意識や運用で十分カバーできることをex-acは体現している。