企業事例 アクセンチュア 知識共有から情報交換まで 社員を幅広くサポートするアクセンチュアポータル
ナレッジマネジメントで定評のあるアクセンチュアでは、全世界17万人の社員が「アクセンチュアポータル」と呼ばれるポータルサイトを使って知識を共有している。
なかでも、全世界の社員が書いた仕事に関するノウハウや分析、さまざまな重要情報が統一フォーマットに落とし込まれ、閲覧・検索できるようにデータベース化されている「Knowledge Exchange」は、アクセンチュアの知恵の源泉。その取り組みについて聞いた。
アクセンチュアのナレッジマネジメント
経営コンサルティング、テクノロジー・サービス、アウトソーシング・サービスなどで知られるグローバルカンパニー、アクセンチュア。現在、49カ国約150都市にオフィスや研究所を持ち、全世界で約17万人の社員が所属している。創業は1953年。ゼネラル・エレクトリック社に対して、コンピュータを初めてビジネスに導入したことで、コンサルティング業務を開始した。1989年には、従来のビジネスであった税務・会計ビジネスからコンサルティング部門を分離・独立。日本オフィス設立は1962年、現在では約3200名以上の社員が働いている。
「アクセンチュアといえばナレッジマネジメント」といわれるほど、同社のナレッジマネジメントは業界ではよく知られている。ナレッジマネジメントに優れた企業を称える「GMAKE(Global Most Admired KnowledgeEnterprise)」では、8年連続上位入賞を果たした(GMAKEは世界のグローバル企業“Fortune 500社”のシニアエグゼクティブらの投票によって選ばれる)。このほか、ハーバードビジネススクールによるベストプラクティス・レポート、アメリカン・プロダクティビティ・クオリティ・センター(APQC)のレポートなどでも、同社のナレッジマネジメントが詳細に報告されている。
ナレッジマネジメントをあえて説明すれば、社内のさまざまな知識・知恵を共有化し、日々更新し、相互に知恵を出し合うような仕組みを構築、そして、その仕組みを活かし続けること、といっていいだろう。いうまでもなくそれは、活発な社内コミュニケーションを前提としている。アクセンチュアのナレッジマネジメント成功の秘密は、社内コミュニケーションの仕掛けにあるといって間違いない。
では、同社ではコミュニケーションを促進するどのような仕組みがあるのだろうか。このことを理解するために、アクセンチュアの業務および仕事の進め方、ワークスタイルについて確認しておこう。
150都市17万人によるフリーアドレスな仕事の進め方
アクセンチュアの社員は自分の席を持たない。17万人いる社員の大半がフリーアドレスである。
「私たちの仕事はジョブ単位であるというのが、その理由です。たとえば組織単位で仕事をしていれば、所属組織の中にバインダーがあり、その中にさまざまなものを蓄積していくことも可能でしょう。しかし当社では、組織はあってないようなもの。数カ月の短いジョブもあれば、5年以上の長いジョブもあります。ジョブが変わるたびに必要となる情報や人、チームも変わります。そのため組織ごとに知識を囲い込むことは、かえって不便なのです」と村尾あかね氏(ナレッジマネジメントマネジャー)は言う。
日本オフィスに所属する約3200名の社員に対し、デスクは約500席(2007年10月時点)。
「当社では、カリフォルニアにいるコンサルタントの専門性が東京で必要となれば、すぐに飛んできて一緒に仕事をするといったことは日常茶飯事。机を使いたいなら、事前に席の予約をして使用しています。同時に、その場で空いていれば使えるフリーアドレスの席も用意されています」
現在多くの企業で、会議室などのスペースを予約するシステムが導入されているだろう。同じ感覚で、カリフォルニアのオフィスから、東京のデスクを予約しておくわけだ。