連載 インストラクショナルデザイナーがゆく 第 37 回 危機管理の第一歩は 痛い目に遭うこと!?
最新のリスク防衛システムが会社を危険に陥れる原因になる
「安全過ぎて、とても危険なんです!」と言って、グッと身を乗り出したのは某企業の人材育成担当者。
「……はぁ?」。冗談かと思ったが、目の前の人物は真剣そのもの。明らかに、「そっ、それはたいへん! 早くどうにかしなければ!」と言って欲しいと、目で訴えている。
ここは「技術立国日本」を支える某製造業のトレーニング・センター。深~い悩みがあると言われて、まずはヒアリングにと駆けつけたのだが、開口一番こう言われても、何のことやらわからない。
こんなふうに、初期分析で波長が合わず、コミュニケーションがうまくとれないことは、よくある話。そんな時は無理してわかったような顔をせず、“コミュニケーションにおいて最も重要なことは、語られていないことを聞くこと”(ピーター・ドラッカー)
という基本を思い出し、率直に聞くに限る。
「それって、矛盾していませんか?」と私。