COLUMN Under 30’s Voice ミニテック 仕事の醍醐味を後輩に伝えたい
中堅社員と新入社員の違い、それは経験と立場と言えるかもしれない。
壁を自ら乗り越えてきた彼・彼女らが、新入社員の先輩として伝えられるのは日常業務のスキルだけではなく、経験から培った仕事の醍醐味である。
アパート・マンション管理運営会社のミニテックでは、それを伝えるステージが整いつつある。
アパート・マンション管理運営会社ミニテック(旧・日本メンテナンス)は1975年設立。「お部屋探しはミニミニで」のCM で知られるミニミニグループ傘下企業である。1998年以降、10年間で取扱管理戸数が約3 倍となるなど、右肩上がりの成長を続けていた。しかし昨年、創業以来初の管理戸数の伸び悩みに陥る。リーマンショック以来の景気の低迷が原因である。
この管理戸数の伸び悩みを受けて同社では、今期、6 つの重要課題を掲げ、その1 つひとつをプロジェクト化して注力している。中でも第一の柱と位置付けたのが「人材育成」。人が育っていなければ課題を解決することもできないからだ。この「人材育成プロジェクト」では新人教育に力を入れるとともに、育成する先輩社員側も同時に育てるに至っている。
2009年末からスタートしたこれら変革プロジェクトのメンバーは、30代後半の全国各店の店長が中心。いわば「後半中堅世代」だ。現在はこの世代が同社を牽引している。そして、その下には入社4 年目以上、30歳前後の中堅社員が控え、その数200名。全社員の3割を占める。彼・彼女らは仕事にやりがいを感じているようで、離職率は極めて低い。よって、彼らを鍛えることがこれからの躍進のカギとなる。
新入社員とともに先輩も必死に学ぶ
ここで、先の人材育成プロジェクトについて少し触れたい。このプロジェクトではまず、新入社員教育の充実に取り組むことになった。というのも、入社3 年目までに3 割の新入社員が退職する「3 年3 割」の現象が、同社でも課題となっていたからである。プロジェクトのチームリーダーで、関東事業部と総務部の課長、池野裕治氏は語る。
「現状を注視すると、離職の一因は新入社員教育が現場の支店に任せっきりになっていることにあると気づきました。これでは、教育にばらつきが出てしまう。新人育成マニュアルはあるにはあるが、いわゆる業務マニュアルに過ぎず、新入社員は毎日の業務の中で場当たり的に仕事を学んでいた。そのため、新人が成長できているかどうか、新入社員も先輩社員もわからない状況だったのです」
これを是正するために、 「新人チェックリスト」を作成。なすべき行動に対する要件を明らかにし、新人を教える先輩社員向けにも、新人指導の要点をまとめた。そして、1 つひとつの要件に対し、できるようになったかどうかを確認することで成長度合いを測っていくことにしたのである。