企業事例 サイボウズ 組織の要の中堅社員は 明確な行動指針と信頼の中で育つ
設立時は社員数3人からスタートしたIT ベンチャー企業のサイボウズ。
現在では社員200人以上を有する成長企業である。
こうした成長を支えているのは、平均年齢31.0歳の中堅社員だ。
組織の要となる彼らには、明確な「あるべき姿」が示され、そこに到達するまでのスキルと能力を修得するための場が用意されている。企業内大学での研修や、コミュニケーション活性化の場づくりを通した、同社の取り組みを紹介する。
成長企業を支える中堅社員
企業向けソフトウェア開発・販売および、情報通信サービスを提供するサイボウズは、外資系製品の寡占状態だったグループウェア市場に1997年に参入。現在では国内シェアのおよそ30%と、3 年連続で国内1 位を獲得するに至っている*1。
現在は、グループウェアの開発・販売における世界一の企業となることをめざし、さらなる取り組みを進めている。2010年4月からコーポレート・コミュニケーションチームに異動になるまで、同社の人事を担当していた椋田亜砂美氏によると、その中核を担うのが、平均年齢31.0歳の中堅社員であるという。
「サイボウズは創業13年の若い会社だということもありますが、中途入社も含めて、会社の中核を成すのは30代の“中堅社員”と呼ばれる層です。20代後半から30代後半の社員数が160名程度で、全体の7 割。うち2 割が、新卒から中堅となった社員です」(椋田氏、以下同)
社員の年齢構成において、中堅層が大きなボリュームを占めていることに加えて、同社は、現代表取締役である青野慶久氏が26歳で起業したということもあり、26歳から30歳頃の中堅社員が事業推進の要だという意識が強いという。
今後、世界的展開をめざすサイボウズの中核として重要な役割を担う中堅社員には、どのような役割が期待されているのだろうか。
「自立」と「伝承」が中堅社員の「あるべき姿」
まず、サイボウズが組織として求める人材像について見てみたい。同社では、全社員に求める行動指針を「Action5」と名付け、以下の5 つの要件を設定している。
1. 理想への共感(行動する)