第34回 出張ついでの観光はOK ? 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第34回 出張ついでの観光はOK ?
海外事業の検討のため担当者を現地に出張させているが、いつも観光などはせず、仕事だけして帰ってくる。本人に聞くと、海外で遊んでいるように思われたくないし、経費精算など事務的なことも面倒なのだという。高額の出張費をかけているので、本人の見識を広げるためにも、多少の観光ならば会社としても認めたいと思うが、いかがなものだろうか。
出張ついでの観光の位置づけ
会社によって就業規則の細部の規程は異なりますが、出張とは、業務上の必要により、普段の勤務地と異なる遠隔地での勤務を命じることを指します。つまり業務命令によって遠隔地に赴くわけですから、交通費や宿泊費といった出張費用は会社が負担するべき、ということになります。ここまではどこの企業や組織でもおおむね変わりはないでしょう。
では、出張ついでの観光についてはどうでしょうか。結論から言うと、業務による出張中であっても、業務に従事していない時間帯や休日は社員が自由に過ごせる時間ですから、基本的に社員が好きなように使っても問題はありません。会社は、たとえ出張先であっても、業務時間外の行動を拘束することはできないということです。
ただし、業務時間外の行動で発生するコスト(宿泊費・遊興費・その間の移動費など)については、会社が負担する必要はありませんし、そこで何か事故があったとしても基本的には労災等には当たりません。つまり、出張ついでの観光や帰省については会社は従業員の行動を細かくコントロールできない代わりに、会社にとってのコストやリスクは基本的に発生しないということになります。