第29回 ワークライフバランス時代の労働時間管理 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第29回 転職社員が持つ情報は活用できない?
競合企業からヘッドハントした中堅社員が活躍している。個人としてはもちろん、会社全体の業績向上にも貢献してくれている。ところが、前職の競合企業からその社員宛てに、営業妨害ではないかという旨の連絡があったようだ。前職の経験を活かして活躍すること自体に問題があるとは思えないが、トラブルになっても困る。どうすればいいだろうか。
前職の競合企業が損害を被る?
人材の流動性が高まり、競合する企業間での転職は一般的になってきました。情報や人脈の重要性が高まるにつれ、転職者が前職で身につけた情報やノウハウ等が転職先の企業にもたらすメリットも大きくなっています。
一方、こうした情報等の活用が以前に在籍していた企業に損害を与えるケースもあるようです。しかし一般的に、労働者は勤務する企業を自由に退職し、他企業に転職することが認められていますから、転職によって元いた企業に損失が出たとしても、それはその企業が自助努力によって回復すべきものとされています。したがって、競合会社からヘッドハントした人が活躍して、結果的に元いた企業が損失を被ることになっても、そのこと自体が即座に問題視されることはありません。では、問題になるのはどんなケースでしょうか。