巻頭インタビュー 私の人材教育論 上司のために「信頼レベル」で 仕事をする集団こそ成長する
今年、設立60 周年を迎えたピジョン。
長年にわたり培ってきた技術力と品質を強みとした育児用品の製造販売で世界に進出。
売上高は15 期連続増収、営業利益は6期連続増益と好業績を続ける。
2000 年代前半より、従来の同族経営からパブリックな企業へと
変革を進めてきた大越昭夫会長に、人が育つ要因と、「人間力」について聞いた。
Pigeon Wayを世界に浸透
─業績が好調ですね。今年スタートした第6次中期経営計画(2018年1月期~ 2020年1月期)では、最終年度において売上高1100 億円、ROE22.0%以上を目標に掲げるなど、さらなる成長をめざしています。今後の展望についてお聞かせください。
大越
当社のビジネスはメインターゲットが非常に明確で、0カ月児から18カ月児までに限定しています。その領域では、成長のメカニズムは世界共通といわれています。したがって、我々のやっているビジネスを全世界に水平展開できるわけです。また、ビジネスの範囲を幼児にまで広げてしまうと、巨大なコンペティター(競合企業)がたくさんいます。事業領域を絞り込むことで、高収益を実現できるのです。
第6次中期経営計画に基づけば、世界の出生数は上位20カ国だけで9160万人に上ります。そのうち、当社がターゲットとする出生数は1782万人です。現在、当社にとって最も大きな市場は中国で2017年1月期の売上は約280億円であり、さらに成長すると考えています。
今後はインドやアフリカなどの市場が伸びてきて、10年後にはピジョングループ全体で2100億円の売上高をイメージしています。
その実現のために、第6次中期経営計画では、「Global Number Oneの育児用品メーカーになるための土台をつくる」ことをめざしています。
─ Global Number Oneになるために、人材育成ではどのようなことに注力されているのでしょうか。
大越
2014 年に社長の山下(茂氏)が、ピジョンがこれまで大事にしてきた考え方を「PigeonWay」として言語化しました(図)。
経営理念や価値観、ビジョンなどを1つにまとめたもので、我々の“心”と“行動”の拠り所であり、全ての活動の基本となるものです。今、社長が中心となり、世界中の拠点でPigeon Wayを理解するための活動をしつこいくらいに行い、浸透させています。