第28回 社内イベントは「業務」? 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第28回 社内イベントは「業務」?
当社では、懇親のために定期的に飲み会やバーベキューなどのイベントを実施しているが、こうした行事に若手や子育て中の社員から不満が出ているらしい。従業員間のコミュニケーションを円滑にするために重要な機会だと説明しても、なかなか理解してもらえない。いっそ強制参加にしてはどうかとも考えているが、どうしたものだろうか。
会社の「指示」かどうか
社内イベントは、仕事を離れた場での従業員間の相互理解やコミュニケーションの円滑化を目的とするものです。時代の流れと共に実施する会社は減少傾向にありましたが、最近になって、業務効率の向上や離職の予防などが期待できることから、その重要性が見直されています。
しかしながら、社内イベントは、その内容や実施方法次第では、参加時間が労働時間と見なされる場合があり、残業代の支払い義務などが発生するので注意が必要です。
労働時間の定義は「使用者の指揮命令下にある時間」であり、労働時間と見なされるかどうかは、社内イベントが使用者の指示によるものか、という点で判断されます。参加するよう明確に指示を出した場合には、当然労働時間となりますが、そうでなくても、参加を「指示した(=労働時間)」と見なされる場合があるので注意が必要です。具体的には、①社内イベントと業務の関係性や、②社内イベントの実施場所・時間・態様等を、総合的に考慮して判断されることになります。