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ラーニングデザイン研究会レポート

新型コロナウィルス感染拡大により、世の中の仕組みが大きく変わっていく中で環境変化に柔軟に対応していくためには、社員一人ひとりが、必要なスキルを短期間でインプットし、短期間でアウトプットを繰り返しながら、アウトカム(=成果)を出し続けることが重要です。そのために、これからのHRD部門には、社員の「学習能力」を高め、「学習効果」を最大化することが求められます。
この研究会では、学びの構造を知り、学習手法や学習環境を最適化するラーニングデザインについて、産官学で研究していきます。

2020年12月24日

人の学びの構造と学ぶ力を高める方法
~人材育成における「習得型」、「探究型」教育とは~
(前編)

2020年10月16日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。今回は、『人の学びの構造と学ぶ力を高める方法~人材育成における「習得型」、「探究型」教育とは~』と題して、桐蔭学園の森朋子氏にオンラインで講演いただいた。本稿では、第一部「新しい時代の学力とは」、第二部「学びをデザインする(PDCA)」の2回に分けて紹介する。

森 朋子(もり ともこ)氏 桐蔭横浜大学

専門は学習研究、学習理論。人がどのように学ぶのか、学びのメカニズムとプロセスを解明し、その知見を教育現場に活用する学習研究が専門。
ケルン大学哲学部Magister修了後、大阪大学言語文化研究科前期・後期課程修了(言語文化博士)。
関西大学教授を経て現職。文部科学省中央教育審議会臨時委員(大学分科会)、同 学生調査の実施に関する有識者会議委員、同 教育再生加速プログラム委員、東京大学情報学環反転学習社会連携講座フェローなどを兼務。
著書として、『アクティブラーニング型授業としての反転授業【理論編】』(共編者、ナカニシヤ出版、2017年)などがある。

講義①:新しい時代の学力とは

2020年の4月から管理職として、桐蔭横浜⼤学を運営する立場となりました。これまでも研究テーマとして大学教育を扱ってきましたが、今度は現場のプレイヤーとなりましたので、本日ご参加いただいている人事担当者の方々と近しい立場にいると考えています。長丁場となりますが、私も是非、本日の情報交換の仲間に入れていただき、知見を交換させていただきたいと思っています。
 本日は「オンラインはこうすればよい」といった話ではなく、「人の学びの構造と学ぶ力を高める方法」についてお話させていただきます。
また、本研究会の事前アンケートによれば、「効果的な学びのデザイン」や「効果的な研修」を組むにはどうすればよいかという意見が多く寄せられていました。そのためには、何が必要なのかをしっかりと把握し、それを生かすためにも、本日は大学の講義と同様のイメージでインプットしてください。

最初に学習研究について簡単にご説明致します。私は、これまで一貫して、子どもや学生が「どうすればわかるのか」や「その構造とプロセスはどうなっているのか」といった「わかる」についての基礎研究を行うと同時に、そこから<「教える」の場面を作る>、<「学び」の場面を作る>といった応用研究も行っています。応用研究をすれば、当然ながら新しい知見が出てくるので、基礎研究との往還を繰り返しています。つまり、学習研究は「実践」と「理論」の往還です。実践がない理論は机上の空論であり、理論がない実践も空回りでしかありません。だからこそ、どれだけ抽象度が高いところから低いところまでを往還できるかが重要となります。

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過去の連載記事

2023年01月06日

未来を築く、健康経営
― 人を資本とする、これからの日本の未来に向けて ―
(後編)

早くから我が国の健康経営の推進をけん引してきた健康経営会議が2022年11月10日、設立10周年を記念してオンラインセミナーを開催した。後編では、3名のパネリストとモデレーターによるパネルディスカッションをダイジェストでお届けする。

パネリスト
伊藤邦雄氏 一橋大学CFO教育研究センター長
茂木 正氏 経済産業省 商務・サービス審議官
岡田邦夫氏 NPO法人健康経営研究会 理事長

モデレーター
樋口 毅氏 健康経営会議実行委員会 事務局長

[取材・執筆]=菊池壮太 [写真]=健康経営会議実行委員会提供

2023年01月06日

未来を築く、健康経営
― 人を資本とする、これからの日本の未来に向けて ―
(前編)

早くから我が国の健康経営の推進をけん引してきた健康経営会議が2022年11月10日、設立10周年を記念してオンラインセミナーを開催した。健康経営の今後について、人的資本経営の視点も交えながら展開された3名の講師の話をダイジェストでお届けする。

[取材・文]=菊池壯太
[写真]=健康経営会議実行委員会提供

2021年06月01日

学習効果を高める学習環境のあり方
~オンラインとオフラインでの学習環境設計について~
(後編)

2021年1月18日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。Step 3では、「学習効果を高める学習環境のあり方~オンラインとオフラインでの学習環境設計について~」と題して、『Learning Design』の人気連載「ワーク&ラーニングスペース最前線」でもおなじみの、東京大学大学院経済学研究科准教授の稲水伸行氏にオンラインで講演いただいた。後編となる本稿では、「成果としてのクリエイティビティ」と「オフィスに求められること」について、稲水氏による講義の一部を紹介する。

2021年05月31日

学習効果を高める学習環境のあり方
~オンラインとオフラインでの学習環境設計について~
(前編)

2021年1月18日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。Step 3では、「学習効果を高める学習環境のあり方~オンラインとオフラインでの学習環境設計について~」と題して、『Learning Design』の人気連載「ワーク&ラーニングスペース最前線」でもおなじみの、東京大学大学院経済学研究科准教授の稲水伸行氏にオンラインで講演いただいた。前編となる本稿では、「オンライン/オフラインの働き方」について、稲水氏の調査・研究で得られたデータや事例紹介などを交えた講義の一部を紹介する。

2021年04月12日

学習手段の仕分け方法とオンライン教育の設計
~オンライン教育とオフライン教育 それぞれの強みの探求~
(後編)

2020年12月22日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。Step 2では、「学習手段の仕分け方法とオンライン教育の設計~オンライン教育とオフライン教育 それぞれの強みの探求~」と題して、早稲田大学人間科学学術院教授の向後千春氏にオンラインで講演いただいた。後編となる本稿では、「オンライン教育のニーズと課題は何か」「オンライン教育は社会にどうインパクトを与えるか」について、向後氏の講義の一部を紹介する。

2021年03月31日

学習手段の仕分け方法とオンライン教育の設計
~オンライン教育とオフライン教育 それぞれの強みの探求~
(前編)

2020年12月22日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。Step 2では、「学習手段の仕分け方法とオンライン教育の設計~オンライン教育とオフライン教育 それぞれの強みの探求~」と題して、早稲田大学人間科学学術院教授の向後千春氏にオンラインで講演いただいた。前編となる本稿では、「21世紀に必要なスキルとは何か」ついて、向後氏の講義の一部を紹介する。

2021年01月18日

人の学びの構造と学ぶ力を高める方法
~人材育成における「習得型」、「探究型」教育とは~
(後編)

2020年10月16日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。今回は、『人の学びの構造と学ぶ力を高める方法~人材育成における「習得型」、「探究型」教育とは~』と題して、桐蔭学園の森朋子氏にオンラインで講演いただいた。本稿では、第一部「新しい時代の学力とは」、第二部「学びをデザインする(PDCA)」の2回に分けて紹介する。

2020年12月24日

人の学びの構造と学ぶ力を高める方法
~人材育成における「習得型」、「探究型」教育とは~
(前編)

2020年10月16日に開催された「JMAMラーニングデザイン研究会」。今回は、『人の学びの構造と学ぶ力を高める方法~人材育成における「習得型」、「探究型」教育とは~』と題して、桐蔭学園の森朋子氏にオンラインで講演いただいた。本稿では、第一部「新しい時代の学力とは」、第二部「学びをデザインする(PDCA)」の2回に分けて紹介する。

2018年11月21日

変革ドライブ企業に聞く!SAPジャパン株式会社③

2010年、事業のグローバル化・多角化戦略に舵を切ったSAP。戦略実現のためにグローバル人事が今、注力しているのがイノベーションを起こす人・組織づくりだ。第3回(最終回)では、イノベーションの促進や若い世代の感覚に即した評価制度改革やモチベーション施策(ノーレイティング、1 on 1ミーティングの導入等)、さらには変化の時代に適した「パルテノン型組織」について、引き続き人事・人財ソリューションアドバイザリー本部長の南和気氏、人事本部HRビジネスパートナー シニアコンサルタントの濱岡有希子氏に伺った。

2018年11月14日

変革ドライブ企業に聞く!SAPジャパン株式会社②

2010年、事業のグローバル化・多角化戦略に舵を切ったSAP。戦略実現のためにグローバル人事が今、注力しているのがイノベーターの育成だ。第1回では、イノベーションの「触媒」役の選抜・育成と「事業コンテスト」を紹介した。今回はもう1つの柱である新卒採用・育成の取り組みについて、引き続き人事・人財ソリューションアドバイザリー本部長の南和気氏、人事本部HRビジネスパートナー シニアコンサルタントの濱岡有希子氏に伺った。

2018年11月01日

変革ドライブ企業に聞く!SAPジャパン株式会社①

業務管理システム(ERPパッケージ)の提供で知られるSAPは、リーマンショックでの経営危機を経て、2010年、事業のグローバル化・多角化戦略に舵を切った。それに伴い、各国で異なっていた人事も、グローバル人事へと改革が図られた。包括的なタレントマネジメントを支援するソリューションを提供することで知られる同社自身が、自社のカルチャーを変える、ドラマチックな人事改革を行ってきているのである。

2018年09月28日

『Learning Design』関連記事
(09-10月号連載「議論白熱」拡大版)

為末大さんに聞いた
おもてなしの限界と可能性とは?