J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2016年08月号

おわりに 今こそ、社員の「働き方改革」に舵を切れ!

支援が女性の活躍を阻害する

「いかに女性の活躍を促すか」―。2016年4月に全面施行された女性活躍推進法も後押しし、今、多くの企業がこのテーマに本気で向き合っている。そのための取り組みには、「育児との両立支援」という面と、女性の積極的な「登用・キャリア形成」という面があるといえる。日本企業の女性活躍について、この両面を比べた時、制度の導入や運用が進んでいるのは「両立支援」だろう。法定期間(育児休暇1年、時短勤務は子どもが3歳未満)を超える制度を設ける企業も少なくない。

したがって、大手企業を中心に、女性が子育てと両立しながら働き続けることは、難しくなくなりつつある。そこで次に出てくる問題は、両立しながら働く女性たちが、「登用・キャリア形成」のチャンスから遠ざかるという点だ。時短で働く女性は、フルタイムで働く社員に比べ活躍の機会を与えられず、“マミートラック”に陥り、将来のキャリアを描けない。結婚・出産前の女性たちでさえ、いつか第一線から離れてしまうからと、成長につながる仕事を任せられなくなってしまう。

もちろん、育児と両立するために、仕事を控えめにしたいという女性もいるだろう。だが、本当はもっと働きたいというフラストレーションを抱えながらマミートラックに陥っている女性は少なくない。

“両立支援”が抱える問題

さらに、両立支援の充実・浸透により噴出してきた問題が、職場の不公平感である。時短勤務社員とフルタイム勤務社員の仕事量や勤務時間に差が生じ、フルタイム勤務社員から不満の声が上がっている職場もある。いくら女性の両立支援制度が整っていても、そのような職場では気持ちよく働くことはできず、真の意味で女性が活躍しているとはいえないだろう。

このような「女性がキャリアを描けなくなる」「職場で不満が生まれる」という問題を解決し、女性活躍を推進するためにはどうすればよいのか。今回、話を聞いた識者が共通して訴えていたのが、「働き方」を変える必要性である。

“残業なし”が生む好循環

中央大学大学院戦略経営研究科教授の佐藤博樹氏は、女性活躍のために設けたはずの就労支援が女性活躍を妨げる矛盾について言及し、解決策は残業が常態化した働き方の改善にあると話す(OPINION1、26ページ)。現状では、育休や時短勤務によるキャリア上のロスの時間を減らそうと、早くフルタイム勤務に復帰する女性は、少ない。なぜなら、今の日本企業では、「フルタイム勤務=残業前提」だからだ。女性たちは定時まで働けないのではなく、残業ができないから、フルタイム勤務に戻れないのである。

したがって、女性の早期フルタイム復帰を促すには、仕事の成果の視点を時間から効率性に変え、残業をなくす必要があるだろう。皆が定時に帰る職場であれば、フルタイム社員と時短勤務社員の間の不公平感も生まれず、両者に与えられる仕事の機会、成長のチャンスも偏らない。早くフルタイム勤務に戻ろうという女性も増え、女性が活躍できるよい循環が生まれるのだ。

立命館大学産業社会学部教授の筒井淳也氏も、勤務内容、勤務時間、勤務地などが限定されない働き方を“男性的な働き方”と定義し、これを女性も働きやすいように変えていく必要があると訴える(OPINION2、30ページ)。そのために求められるのは、「長時間労働の改善」と「男性の家事や育児への参加」である。長時間労働の改善には、リモートワーク(在宅勤務)や、勤務と勤務の間に一定時間の休息を義務づける制度の導入も効果があるという。仕事の効率化に加え、時代に合った新しい働き方にも目を向けること、これも残業削減、そして女性活躍につながるということだ。

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