J.H.倶楽部

無断転載ならびに複製を禁じます。なお内容は取材・掲載当時の情報です。

Learning Design 2019年05月刊

ワーク&ラーニングスペース最前線 第6回 サントリーホールディングス サントリー研修センター「夢たまご」(神奈川県・川崎市)

どのような空間ならば、「学び」は促進されるのか。
本連載は、オフィス学を研究する東京大学大学院経済学研究科准教授の
稲水伸行氏が企業の研修施設をめぐり、学びを促進させる工夫を解説する。

東京大学大学院
経済学研究科 准教授
稲水伸行氏

1980年広島県生まれ。2003年東京大学経済学部卒業。
東京大学ものづくり経営研究センター特任研究員・特任助教、筑波大学ビジネスサイエンス系准教授を経て現職。
経営パフォーマンスを高めるオフィスについて研究を行う。

[写真]=中山博敬

一人ひとりの“夢の実現”を目的に

サントリー研修センター「夢たまご」は、住宅街としても人気の神奈川・武蔵小杉駅から徒歩10分ほどのところにある。もともとは瓶詰め等を行っていたサントリー多摩川工場跡地に、2004年に商品開発センターを、そして2005年に研修センターとなる夢たまごを竣工した。

「夢たまごには、『サントリーグループの夢』と『一人ひとりの夢』を実現するための孵化器(インキュベーター)でありたいという思いがこめられています。名称は社内公募により生まれたものなんですよ」

そう話すのは、夢たまごの管理等を行うサントリーパブリシティサービスサントリー研修センター夢たまご主任の浅倉りか氏。

「夢たまごは主にサントリーグループの人材育成、キャリア開発の拠点として、新人研修、育成研修、キャリア研修など様々な研修を行っています。2018年度は延べ873件の研修を行い、約2万8,000名が利用しました。ナレッジの創出、共有化を促進する施設としての位置づけも大きく、会社の定例会議や発表会で使用したり、また得意先へのアプローチとして新製品の商品説明を行うなど商談の場として使うことも多いですね」(浅倉氏)

すべての部屋にホワイトボード!ゆとりある宿泊室

地上3階建ての建物は、1階と2階の一部が会議室、2階の一部と3階が宿泊スペースとなっている。ユニークなのはその造りだ。1階中央部と2階は吹き抜けで、2階の屋根にあたる部分は芝が植えられた中庭。3階は、その中庭をぐるりと囲む形で宿泊室が配置されており、採光もよく開放的な雰囲気を醸している。

「『開かれた施設』というのも夢たまごの大きなテーマなので、廊下もガラス張りにしています。できるだけオープンで、ゆとりある空間づくりを意識しました」(浅倉氏)

宿泊室は全65室。一般的なビジネスホテルは入り口付近にトイレや風呂があるが、この宿泊室は入り口の扉を開けるとまずテーブルと椅子、そして壁にホワイトボードが設えられた作業スペースがある。

「よりくつろげるように、リラックスできるスペースは奥に集約しました。ゆったり休んでいただくため、ベッドは全室セミダブルにしています」(浅倉氏)

また、宿泊スペースには宿泊者が利用できるラウンジも備えられている。長いソファが並び、こちらもゆとりある空間だ。

「多くの研修で、研修後に懇親会を行っています。食堂での懇親会後、食堂横のバーラウンジや宿泊エリアのラウンジに流れる人もいます。研修だけでは語り尽くせないことなどを、より深く語り合っていただいています」(ヒューマンリソース本部キャリア開発部の大八木多佳夫氏)

自由な空間で発想できる新感覚の“Dream Lab”

1階には144名収容の大会議室と96名収容の中会議室、そして48名収容の会議室が4つ備えられている。

大会議室と中会議室は仕切りを外せば300名入れる広々とした空間になる。

「通常はスクール形式でセットしていますが、研修によってレイアウトの希望は変わるので、最近は島型にして使うことが多いですね」(浅倉氏)

会議室の片側は全面窓ガラス。窓際には長いベンチシートが備えられており、休憩中に腰掛ければ、発想の転換につながりそうだ。

48名収容の会議室は10~30人程度で行うワークショップで使用されることが多い。可動式のホワイトボードが数枚並んでおり、グループワークの際は各グループで1台使用できる。

こちらはJ.H.倶楽部会員限定記事です。
ご入会後、続きをお読みいただけます。

残り:1,502文字

/

全文:3,003文字

【入会・年会費無料】

J.H.倶楽部は人事の仕事に役立つ特典が満載です!

  1. 総数2000本以上の人事の実務に役立つ記事(※)が閲覧可能
    ※専門誌『Learning Design』(旧『人材教育』)の記事
  2. 新サービス・お役立ち情報(調査報告書・ホワイトペーパーなど)の先行案内
  3. 会員限定セミナーへのご招待/講演動画・配布資料の閲覧
  4. 興味関心に沿った必読記事を、メールマガジンでお知らせ!