J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2015年03月号

ID designer Yoshikoが行く 第93回 青学駅伝の教訓に学ぶ元カリスマ営業監督の革新

寺田 佳子(てらだ・よしこ)氏
ジェイ・キャスト執行役員、IDコンサルティング代表取締役、日本イーラーニングコンソーシアム理事、IT人材育成事業者協議会理事、eLP(eラーニングプロフェッショナル)研修委員会委員長、熊本大学大学院教授システム学講師、JICA─NET Instructional Design Seminar講師、ASTD(米国人材開発機構)会員。著書に『IT時代の教育プロ養成戦略』(共著、東信堂)など。http://instructionaldesign.blog97.fc2.com/

ある新年会でのこと。

「テラダさ~ん!」。

遠くから大きく手を振るのは、某大学の知人だ。もともとポジティブな人だが、この日はまた、格別に嬉しそうであった。聞けばその方、今年の箱根駅伝で創部96 年目の初優勝を飾った青山学院大学のご出身、さらに高校も原晋監督と同窓の広島県立世羅高校だという。

「青学って、チャライと思っていたでしょ~」と言いながらも笑みがこぼれるのを止められないようで、「いえいえとんでもない!オシャレでスマートで……」とヨイショしかけるのを遮って、「で、そのうえ、根性もあるときた!」と、まるで自らが山の神になったかのようなはしゃぎようであった。

たしかに青学は強かった。史上最速の10 時間49 分27 秒で優勝、という見事な強さだった。強いだけではなく、爽やかでカッコよかった。選手たちは楽しそうに走り、控えのメンバーやスタッフ、OB含めてのチームワークも素晴らしく、都会的なスクールカラーにふさわしいスマートな勝ちっぷりだった。

その青学の強さと原監督の革新的な選手育成マネジメントの手法については、「大学駅伝界の異端児、箱根を制す!」などとメディアでも大々的に取り上げられているが、インストラクショナルデザイナーとして注目したのは、原監督ならではのユニークなコメントから学ぶ、「3つの駅伝の教訓」である。

「オトコマエ」をスカウトせよ

スカウトする時はまず過去の記録を見るでしょう、と素人は考えるが、さにあらず。選手が「オトコマエ」かどうかで決めるというのだ。

ただし、監督の言う「オトコマエ」には2つの側面がある。1つは、明るく、表現力が豊かで、言葉のキャッチボールが的確にできる、魅力的な人間性を備えていること。もう1つは、胸板が厚くてバネのある走りをする、ランナーとしての資質を感じさせることだ。

高校時代の実績より、このメンタルとフィジカルの両面からオトコマエかどうかを評価し、将来性に賭ける。選ばれた選手のほうも「君たちはオトコマエだ!」と言われて悪い気がするわけはなく、「タイムではなくて、走りを見てイイね、と言ってくれて嬉しかった」とモチベーションが上がる。こうして信頼関係を築いた後は、「本当に一人前の自立したオトコに育てる」ための環境整備に注力するのが監督の仕事だと言う。

「こんな人材がほしい」という採用のビジョンを強くアピールする重要性は、スポーツでもビジネスでも同じだ。経営の神様・故松下幸之助も、『三国志』で劉備が諸葛孔明を「三顧の礼」をもって迎えた例を挙げて、「人を得るためにはまず強く人を求めることである」と繰り返し語ったという。

“人材不足を嘆く前に、「オトコマエ」のように、わかりやすい人材ビジョンを策定し、繰り返し熱くアピールすべし!”

これが駅伝から学ぶ教訓、その1である。

ワクワクエンパワーメント

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