J.H.倶楽部

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Learning Design 2021年01月刊

おわりに 「自律」した一人ひとりがつくる、 ニューノーマルな組織を目指して

Image by Elnur / PIXTA

毎年12月に発表される今年1年の世相を表す「今年の漢字」。2020年の漢字は「密」だった。この漢字に表されるように、まさに新型コロナウイルス感染症対応に追われた1年だったのではないだろうか。

日本でも感染が広がり始めた2020年2月、急なリモートワーク整備に始まり、4月の入社式・新入社員研修では大きく方針を転換した企業も少なくないだろう。しかし、夏も中盤にさしかかったころ、「With / Afterコロナ」「ニューノーマル」という言葉を耳にするようになる。「危機を契機に」と、先駆けてジョブ型雇用導入を宣言し、注目を集める企業も現れた。

コロナ禍が私たちの働き方、価値観に与えた影響は不可逆的だ。いま、急速に仕事の在り方が「自律分散型」へと向かっている。そのなかで人事・人材開発担当者ができることは何か。本特集を振り返りながら考えてみたい。

自律性を尊重し、任せる

誰も予想だにしなかったコロナ禍をはじめ、気候変動、テクノロジーの進化、グローバリゼーションとビジネス環境の複雑化は今後もますます高まっていくだろう。

先が見えない状況において、計画に基づいて実行されるPDCAサイクルに代わり注目を集めているのがOODAループやOKRなどのマネジメントを速める方法である。なかでも「OODAループ」(P30)は、意思決定を現場に委ね、ミッションに基づいて「直観的に判断して行動し、そして修正していく」ことで、変化に強く、スピーディーな業務遂行を可能とする。ベンチャー企業に代表されるように、今後はOODAループを実践できる組織が強い組織となりそうだ。

同様に、「ABW(アクティビティ・ベースド・ワーキング)」(P34)もメンバーやチームに自己裁量や決定権を与えることで生産性を高める考え方である。ヨランダ・ミーハン氏は「チームやメンバーをエンパワーメントし、彼ら自身がオーナーシップをもって働くことを促す、これがABWの本質です」と述べている。働き方や働く環境に目がいきがちだが、それはあくまで要素の1つにすぎず、自律性の尊重に意味があることに留意したい。

カルチャーは機能しているのか?

一方、自律した個が組織のなかで働くために必要となるのが、組織文化、カルチャーの存在だ。「OODAループ」の原田勉氏も「(OODAループ実践には)全員を同じ方向に向けさせ、現場に一体感をもたせることが欠かせません」と述べている。

「カルチャーモデル」(P40)の唐澤俊輔氏によると、カルチャーを“意図的”につくることで、ガイドラインとしての役割に加え、多様化する人材の価値観を揃えることも可能になるという。

また、そんな組織特有のカルチャーや人間関係をとらえ、組織の課題をつかむ手法として、HR分野でも活用が進んでいるのが「エスノグラフィー」(P37)である。

自身も“エスノグラファー”としてフィールド調査を行う神谷俊氏は、若手社員のメンタル不調の原因が、実は上司の家庭問題にあった例を紹介してくれた。ニューノーマル時代は働く場所の制約がなくなる一方、どんなコミュニケーションがなされているか、外から見えづらく、組織と反する“サブカルチャー”が生まれるケースもある。エスノグラフィーのような、現場の実情をつかむための手法で観察していくことがより重要になるだろう。

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