J.H.倶楽部

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Learning Design 2020年11月刊

特集│OPINION 2 前田鎌利氏  人の感情や価値観がポイント  社内で、仕事で実践できる! 前田鎌利流アウトプット力向上術

ビジネスパーソンが生み出すアウトプットには、社内向けと社外向けの2つがある。
双方のアウトプットの質やアウトプット力を高め、個人と組織の成長を両立させていくには。
プレゼンテーションクリエイターの前田鎌利氏に聞いた。

前田鎌利(まえだ かまり)氏 書家/プレゼンテーションクリエイター

書家/プレゼンテーションクリエイター/一般社団法人 継未-TUGUMI- 代表理事1973年福井県出身。5歳より書を始める。
2010年、ソフトバンク孫正義氏の後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生として選考され、孫正義氏の資料作成などにも携わる。
2013年ソフトバンクを退社し、未来へ日本の文化を継承していく書道塾・継未-TUGUMI-を経営。
書家としてJリーグ「絶対突破」、JAXA「こうのとり」、彦根市国宝 彦根城」をはじめ多くの書を揮毫。
著書に『プレゼン資料のデザイン図鑑』(ダイヤモンド社)、『ミニマム・プレゼンテーション』(すばる舎)、パワーポイント最速仕事術』(ダイヤモンド社)等。

[取材・文]=菊池壯太 [写真]=前田鎌利氏提供

社内向けアウトプットの質を高める「3つの掛け算」

本稿では、ビジネスパーソンで、かつ会社や組織に所属している個人が、社内向け・社外向け双方のアウトプットの質や、そもそものアウトプット力を高めるためにどんな取り組みをしていくべきかについて取り上げる。ソフトバンク時代、孫正義氏のプレゼンを担当し、プレゼンの攻略術や社内・社外向けプレゼン資料に関するベストセラーをもつ前田鎌利氏には、最初に社内におけるアウトプットの質を左右するポイントを聞いた。

「まず、アウトプットを構成する要素としては、『時間軸』、『精度』、『視座』の3つがあります。時間軸とは、締め切りや期限。ただし、期限どおりに提出できたとしても、精度が低ければ意味がありません。そして視座は、仕事を指示した上司だけでなく、部長や役員といったさらに上位職の意図が正しく反映されているかどうかです。視座を高めることは、良いアウトプットを生み出すうえでとても重要なことですので、後ほど詳しくご説明します。

また、資料の作成やプレゼンにあたっては、提案の仕方がその企業独自の作法にマッチしていることや、組織ごとの文化の違いを意識することも大切になります。たとえば、財務部門ならば数字の見せ方が肝になりますし、技術部門ならば技術背景をしっかり見せる必要があります。営業部門は、訪問件数やコンバージョン率など、また別のアプローチによる見せ方が求められるでしょう。そういった組織ごとのツボを外さないことが重要です」(前田氏、以下同)

加えて、上司のタイプも考慮する必要があると前田氏。

「緻密な統計を求めるタイプの上司に対しては、データ等の準備が必要ですし、熱意を重視する上司であれば、話し方に配慮する必要があります」

つまり、①企業文化、②組織文化、③上司のタイプという、3つの要素の掛け算によっても、社内向けアウトプットは大きく変わってくるということだ(図1)。

「ステージゼロ」での準備が鍵

ステージゼロでの準備① 情報

上記の前提を踏まえたうえで、アウトプットの質や、アウトプット力を高めていくためには、どんな準備が必要になるだろうか。

「まず『ステージゼロ』での準備が重要だと考えています。ステージゼロとは、具体的な案件が動き出す前の平常時のこと。案件が走り出してアウトプットが求められる段階になってから準備したのでは遅いのです。ここで準備の軸となるのは、『情報武装』。情報のなかでも特に“1次情報”が鍵になります」

ネットで検索して出てくる情報やSNS の書き込みは、ほとんどが2次情報だが、これらは別の情報源を元にした情報で、精度や信頼性に欠けるものも少なくない。信頼性の担保という意味では、自分自身で見たり話を聞いたりした1次情報を取りに行くことができれば確実だが、現実的にはなかなか難しい。ただし、なるべく1次情報を確認しようという姿勢をもつことはできるはずだ。

「たとえば、知り合いが情報源に近いところに住んでいれば、その人に連絡して様子を聞いてみる。いわゆる裏取りですが、そういった確認を行うだけでも情報の信憑性はぐっと増します。

たとえば、これは私がソフトバンク時代、売上が伸び悩む店舗があり、改善しようとしていたときの話です。まずは立地や顧客属性などのデータを見て理由を推測し、対策を立てることがやはり多いものですが、実際に現場に足を運んでみると、店舗の清掃が行き届いていなかったり、接客スタッフの身だしなみに問題があったりと、不振の原因がデータから推測されたものとは異なるケースもよくありました。要は、自分で1次情報を取りにいかないと見えてこない部分も多いということです」

前田氏によれば、1次情報を取りに行くことができる人は、多様な情報に接しても不確実な情報に簡単に惑わされない。そのため自然と上からの信頼も厚くなり、提案や意見も通りやすくなるという。

また、情報は鮮度も大切だ。最新の動向に配慮しながら意思決定を行う上位層やトップは、常に最新の情報を欲している。

ステージゼロでの準備② 人脈

1次情報や鮮度の高い情報にアクセスするためは、社内外の人脈ネットワークを幅広くもっておく必要がある。社内では、キーパーソンの動きをよく知っておきたい。

「キーパーソンとは、自分の部署にいる人や上司だけでなく、より上位の役職の人や他部署の上司も含まれます。こういった人たちと日常から接点をもつことができれば、キーパーソンの誰かが決裁権者になったときの対応がスムーズになります。

提案する側としては、決裁権者からの質問に想定問答を用意しておきたいのですが、決裁権者がどんな性格の人なのかがわかっていれば、想定問答も考えやすい。スポーツなどでも同じですが、相手をよく知り出方を予想することで、有利にことを運びやすくすることができます」

社外にネットワークを築いて、多様な人脈を形成している人の話す内容は多岐にわたり、説得力がある。

「しかも、多くの場合、その人自身がとても魅力的に映ります。なにも著名人とつながる必要はありません。いかに幅広く、社外の多様な年代の人と付き合い、情報のキャッチアップができるかです」

アウトプット力向上につながる社内での振る舞い方

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