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Learning Design 2018年09月刊

特集1│Chapter1│識者の視点~出る杭の育て方 SPECIAL COLUMN “どう活躍するか”まで主体的に考えることが必要 「人生100年時代の社会人基礎力」とは

経済産業省は、個々人がライフステージの各段階で活躍し続けるために求められる力として、2017年度、従来提唱していた社会人基礎力に新たな視点を加えた「人生100年時代の社会人基礎力」を発表した。
「出る杭人材」にも欠かせないこの能力について、話を聞いた。

Interviewee
川浦 恵(かわうら めぐみ)氏 
経済産業省 経済産業政策局
産業人材政策室 室長補佐

2009年人事院入省。2018年度より経済産業省へ出向。
現在、産業界の成長に資する人材の育成に関する施策担当者として、「人生100年時代の社会人基礎力」をはじめキャリア教育の普及のために活動。
全国の教育関係者や企業人事担当者に向けて講演活動などを行う。

[取材・文]=汐見 忍

社会人基礎力とは

“出る杭人材”の育成にあたり、個々人の能力をベースアップするための指標として大いに参考になるのが、経済産業省が2006年に提唱した「社会人基礎力」である。これは「前に踏み出す力」「チームで働く力」「考え抜く力」という3つの能力とそれに紐づく12の能力要素がベースとなっているが、昨年度、同省はこれに「何を学ぶか」「どのように学ぶか」「どう活躍するか」という3つの視点を加えた「人生100年時代の社会人基礎力」を発表した(図)。

「2006年当時、社会的にニート問題が浮上していました。日本型雇用システムである新卒一括採用にこぼれてしまった人たちを救うため、彼らに足りない能力を共通言語化したのが『社会人基礎力』です。一方で、新たに打ち出した『人生100年時代の社会人基礎力』は、近年のAIやIoTの進化による働き方の変化、また、個人の寿命が組織の寿命よりも長くなるであろうという時代に、今までのように入社した組織に居続けていいのか、という問題意識などに対応するため、社会人基礎力に新たな視点を加えたものになります」(川浦恵氏、以下同)

人生100年時代に必要な3つの視点

まずは新たに加わった3つの視点について紹介していきたい。

①何を学ぶか(学び)

労働雇用市場が大きく変化し、求められるスキルも変わり、スキルの賞味期限が短くなってきている。そこで、何を学び、自分の強みとして身につけるのか。また、それをいかに伸ばし続けていくかという視点が重要になる。

②どのように学ぶか(統合)

「学び方」は多様である。例えばオンラインで毎日30分でも語学や資格取得の勉強をするという方法もあれば、大学院で学んだり社内で勉強会を立ち上げるケースもある。ボランティアや地域貢献のような形で、自分がやりたいことや経験してきたことを通じて学びを深め視野を広げるというやり方も考えられる。

③どう活躍するか(目的)

そして、学びの目的は、最終的には社会人として企業内で活躍することや企業外で自己実現や社会貢献を果たしていくということだ。そのためには、企業内外で主体的にキャリアを切り拓き、学んだことをきちんと再現したり、自分のスキルの汎用性を見極めたりする必要がある。

求められる人材育成とは

「出る杭人材」を育てるという視点では、特に、自身の強みを認識し「それを社会でどう活かし活躍するか」というところまで主体的に考えて実行に移すことのできる人材育成が求められる。どうすれば、こうした視点を身につけることができるのか。

「まず、個人としては、キャリアオーナーシップを持つということが挙げられます。キャリアを会社に委ねるのではなく、自分自身で主体的に学びを継続し、能力を高めたり人的ネットワークを構築したりしていくということです。ただ、現実問題として、最初からそのような意識の高い社員がどれほどいるか、意識はあっても時間やお金の関係で一歩を踏み出すことができない社員が多いことが現実です。したがって、一歩踏み出すことができない人を後押しするために重要なことは、その人が所属する組織側のサポート、あるいは組織が社員を教育するプラットフォームになるということです」

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