J.H.倶楽部

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Learning Design 2018年07月刊

Chapter 3 まとめ・企業における応用 探究型人材を生むための 実践サイクル

最後に、企業で「探究型人材」を輩出するにはどうしたらよいか、
大人はどのように探究学習に取り組めばよいか、まとめてみたい。

Interviewee
炭谷俊樹(すみたに としき)氏 
神戸情報大学院大学 学長

神戸情報大学院大学学長、ラーンネット・グローバルスクール代表。1960年神戸市生まれ、大学卒業後マッキンゼーにて10年間日本企業及び北欧企業のコンサルティングに携わる。96年、子どもの個性を活かす「ラーンネット・グローバルスクール」を開校。2005年よりビジネス・ブレークスルー大学大学院経営学研究科教授、2010年より現職。
著書に『実践 課題解決の新技術』(PHP研究所)など。

[取材・文]=竹林篤実

「探究サイクル」を回す

これまで子どもの教育現場における探究学習の事例を中心に紹介してきたが、自ら主体的に課題を発見し、多様な人たちとの対話を通じながら課題解決を図る“探究型”の姿勢は、ビジネスにおいても不可欠なのは言うまでもない。

「探究とは単なる教育の問題ではなく、これからの世界において求められる、人の生き方や考え方の問題。仕事でも、一人ひとりが“探究型人材”にならなければ、日本企業に未来はありません」

神戸情報大学院大学の炭谷俊樹学長は、そう警鐘を鳴らす。

では、探究型人材になるためには、どうすればよいのか。炭谷氏が勧めるのは、『探究サイクル』を回し続けることである(図1)。

「まずは自分が取り組みたい課題を、自分で見つけてください。自分で決めた課題だからこそ、意欲的に取り組むことができるし、夢中になるほど集中できる、いわゆる『フロー』状態に入ります。そこまで入り込むと、必ず何らかの結果が出て達成感を得られる。そうなればしめたもので、また何かやりたくなるはずです。このサイクルを回し続けることが重要です」(炭谷氏、以下同)

課題といわれても、すぐには思いつかない人もいるだろう。だが、様々な視点から考えれば、誰でも問題意識を持っている何かを発見できるという。

「社会課題といった大層なテーマを取り上げる必要はありません。身近な人の持つ不満や問題点、仕事に関するものにするならば、組織の課題や同僚の不満、仕事の効率化といったことでもよいでしょう。例えば、私が担当する大学院の探究実践の授業では、自分の過去を振り返り、どのような時にやる気が出たか、逆に失ったかを思い出すことで、自分の興味のある課題を発見するワークを行っています」

企業における実践のポイント

企業の研修の中で、探究サイクルを実践させるのもよいだろう。自社の課題を発見し、解決策を導き出し、最終的に経営陣に提言するといったプログラムも効果的だ。

ただ、その際に注意したいのが、最初の課題選択において制約をかけないこと。前述の通り、“自分で決めた課題”ということに意味があるからだ。

もう一点、極めて重要なのが、減点式の評価は、絶対にしてはならないということである。本人としては精一杯最後まで頑張ったにも関わらず、ネガティブな評価を受けると、達成感どころかやる気を失うだけだ。日本の場合は、教育現場でも企業でも減点主義に陥りがちなので、気をつけたいポイントである。

「新規事業やビジネスプランを考えるプロジェクトでもありがちなのが、最終のトッププレゼンで“ここができていないじゃないか”と、重箱の隅をつつかれて潰されるケースです。最初はゼロベースから考えていくので、メンバーも情熱を持って取り組み、集中してかかるのですが、プランがあっさり潰されては、達成感が味わえず、向上心につながりません。探究心を養うことが目的ならば、最後は必ず、何らかのポジティブなフィードバックで締めくくるよう心掛けてください」

さらに、企業が取り組む際に忘れてはならないのが、適切なリソースの配分である。探究サイクルを回すには一定の時間が必要であり、社外で動くケースも出てくるだろう。それを許容する体制を整え、必要経費も認める必要がある。そして細部については口出しせず、大枠だけ決めたら、あとは主体性を最大限尊重したい。

“探究型組織”の在り方

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