J.H.倶楽部

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月刊 人材教育 2012年04月号

Opinion Column 2 ポストラーニングの場の提供で学習効果を高める

デジタルハリウッド大学院のあるゼミでは、iUnivのある機能とFacebookを組み合わせてソーシャルラーニングを実験的に行った。さらに、ソーシャルメディアを介した学習は、特に講義後、継続的に学習効果を維持し、高めることを研究で実証したという。研究の中心人物である佐藤昌宏教授が説明する。

佐藤 昌宏 氏
デジタルハリウッド大学院特任教授
1992年より「人とコミュニケーション」をテーマに活動。現在は、本学にて産学官連携センター長を務めながら、大学院ゼミ「EffectiveLearning Lab」にて、デジタルを活用した学習効果の研究を進めている。

[取材・文] = 西川敦子[写真] = 本誌編集部

意味のあるソーシャルラーニングを

ソーシャルラーニング(SNSなどを利用したWeb上の学び)は最早、時代の趨勢。

だが日本企業は、自社が実施する、eラーニングを含むWebを介した学習の費用対効果をどれだけ把握しているだろうか? その重要性をどこまで認識しているだろう?

形ばかりの導入にせず、使いこなすために日本企業ができることは、ソーシャルラーニングの質を高めていくことだろう。

その1つが、やりっぱなしにせず、学習効果を確実なものにすることだ。

そこで、デジタルハリウッド大学院の「Eff ective Learning lab」では、「ICT(情報通信技術)を活用して学習効果を向上させる仕組みづくり」を目標に、ソーシャルラーニングに関する研究を開始。その現状と課題、可能性を探ってみた。

学習効果を高める「ソーシャルな復習の場」

2010年12月、研究に先駆けて行ったのは、Facebook上で授業の共有をする実証実験である。

まず、Facebookのグループ機能を利用し、授業に参加する学生限定で、タイムラインに書き込めるようにする。

そして、キャスタリア社のiUnivの学校版『Schooly』を使い、デジタルハリウッド大学院のゼミ授業の録画動画を貼りつける。このシステム上なら、動画にコメントをつけたり、重要箇所を強調することもできる(P43)。コメントが集中する箇所を見たり、他人のコメントを読むことで、学習が促進され、「おさらい」も自由自在になる。

毎回の議事録もアップすることで、授業を欠席した学生が内容をチェックしたり関連する資料を探してきて紹介し合ったりもできる。授業をネタに学生や講師が盛り上がり、熱い討論が交わされることも。

半年後、この結果を踏まえ、改めてソーシャルメディアを利用した学習効果向上のための研究をスタート。手始めに行ったのは、「そもそも学習効果とは何か」という定義づけである。

検討の結果、私たちがたどり着いた定義は次のようなものだった。

学習効果とは:学びによる発見・気づきから行動変容が起こり、「わかった」「できた」の質と量が向上すること。

そのうえで学習効果を高めるために必要なものを探ることにした。まず測定したのは、学習効果が「プレラーニング(予習)」「ミッドラーニング(授業)」「ポストラーニング(復習)」という3 段階のどこで見られるか、である。FALSE

すると面白いことがわかった。8回連続の授業について、Facebookに書き込まれたコメントや「いいね!」を見ると、「量」が一番多かったのは、「ミッドラーニング」だった。ところが、「質」が高かったのは「ポストラーニング」だったのである(なお「質」が高いとは、実際に行動変容につながったと見られる書き込みを意味する。「やってみた」「わかった」といったワードを拾い上げ、測定した)。

リアルの授業では、その場限りで終わってしまい、その後にクラスメイトと授業について話すことはなかなかない。だが、ソーシャルメディアを利用することで、自然とポストラーニングの場を提供することができ、行動変容が起こっていたのである。

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