第26回 女性管理職の妊娠 藤原英理氏 あおば社会保険労務士法人 代表
働く人の価値観の多様化から「働き方」も変化し、現場の管理職の悩みも“イマドキ”なものになってきています。
そんなイマドキな悩みの解決方法を、社労士の藤原先生が紹介します。
第26回 女性管理職の妊娠
管理職としてバリバリ働いている優秀な女性社員から、妊娠したという報告を受けた。本人は、できる限りこれまでと同じように働きたいと希望している。会社としてはうれしいが、今まで通りハードに働くというのもそれはそれで心配になる。本人の申し出に反して、管理職から外したり業務負荷の低い仕事をさせるといった配慮が必要だろうか。
待遇と安全のジレンマ
男女の雇用機会均等が進むにつれ、妊娠中の女性社員の業務負荷をどう捉えるかが課題になっています。妊娠・出産というライフイベントは、業務とは関係なく発生するものですが、対象の女性社員の希望に合わせながら、うまく組織の業務に当てはめる必要があります。ポイントは、①不利益取扱の禁止と、②安全配慮義務です。
①に関しては、労働基準法や男女雇用機会均等法で、妊娠・出産を理由とする不利益的取扱が禁止されています。また、対象者本人から請求があった場合には、時間外・休日・深夜労働をさせてはいけない、身体に負担をかけないような軽易な業務へ異動させなければならない、などと定められています。
つまり、妊娠・出産を理由として、業務負荷を一定程度減らすことが求められながら、出世の機会が失われたり評価が下がったりするといった不利益な取扱は認められないということです。これは運用する雇用者にとっては、難しい問題です。「これまでと同じように働きたい」と申し出ているにも関わらず、会社側がその申し出を断って管理職から外すなどした場合、不利益取扱と見なされる可能性もあるからです。