おわりに “痛い”ところに気づかせつつ どんどん仕事がしたくなる環境を
40 代は、今後自分が組織内でどのようなキャリアを踏んでいきそうか、気になる時期だ。上昇志向を持つ人が「自分は管理職にはなれなさそうだ」と思えば、やる気は下がる。しかし、ポストは全員にはない。どうしたら、やる気を維持して、底力を出して働き続けてもらえるだろうか。本特集ではそのヒントと、「40 代」をあらゆる角度で知ることに注力した。
働かない人が生まれる理由
『人事のプロが教える 働かないオジサンになる人、ならない人』等の著書を持つOPINION1の楠木新氏は、「働かないオジサン」のような、やる気を落としてしまう人は、日本の人事の仕組みから構造的に生み出されていることを指摘。そして個人には、会社の中での価値観とは別の「もう一人の自分」を持つことを、また企業には、複数のキャリアの選択肢を用意することや職種別採用の導入、そしてさらなる個別対応を検討すべきだと提言した。
OPINION2の髙山緑氏は、40 代が、発達心理学の観点でどういう世代かを述べた。40 代は、応用的な知能がまだまだ維持され、人生を左右する知恵も豊かになっている最中であること。そして“人格”的には、さらに成熟するための山場を迎える時期であるという。こうした能力的視点からも、40代には自分に限界を設けず頑張ってもらいたいと思わされる。
40 代は身体的にも変化が現れる時期だが、医学博士の有馬牧子氏は、男女の更年期症状について説明(SpecialColumn)。社員が怒りっぽくなったり、月に数日休むようになったりしたら、もしかしたらホルモン分泌のせいなのかもしれない。こうした知識を周囲が持っておくことも、40 代の支援やマネジメントに役に立つ(心身の変化については前ページ囲みも参照)。