ATDの風 HR Global Wind from ATD <第1回> ATDと、グローバルな人材開発のトレンド
米国で発足した人材・組織開発の専門組織ATD(タレント開発協会)の日本支部ATD-IMNJが、テーマ別にグローバルトレンドを紹介します。
■ATDとは?
企業戦略を構築・実行するためには、それを可能とする人材戦略が前提となる半面、人材の採用から教育、配置、評価など、昨今でよく語られるタレント開発・マネジメントの重要性を理解している経営者は少ないと感じている。そうした重要性の高い人材開発や組織開発に70 年も前から専門的に取り組んでいる世界的な組織が、ATD(Association for Talent Development)である。1944 年の発足以来、長年「ASTD(American Society for Training & Development)」という名で最先端の学びの場を世界に提供してきたが、2014 年にグローバル化と人材開発への取り組みにフォーカスするため“ATD”に改名した。100 カ国以上に約4 万人の会員を有し、タレント開発の各分野に関連したコミュニティによる、専門的で深い学びの活動が行われている。
ATDは、人材育成プロフェッショナルのコンピテンシーを定義し、時代や要請に合わせて更新してきた。その内容やカバー範囲は他のどの団体の情報に比べても群を抜いている。特にグローバルな視点で、どのように人材開発を進めるべきかという観点から、世界のトップパフォーマンス企業事例やその手法が共有されており、ベンチマークとして大変参考になる。日本企業の人材開発部門は、経営の戦略パートナーとなるためにいかに人材・組織開発を進めるかという専門的知見をATDから豊富に得られるはずであり、人材開発担当者が自らのスキルを高めることもできる。
■日本の組織とその活動
日本においては、ATDインターナショナル・メンバー・ネットワーク・ジャパン(ATD-IMNJ)を2008 年に発足させ、米国やアジアのカンファレンスへのツアー参加支援、カンファレンス内容の報告会での情報共有、「HPI 委員会」や「リーダーシップ開発委員会」等、国内での7つの研究会、委員会活動を通じた専門的な学びの場を提供など、独自の活動を展開している(現在、会員は270 名を超える)。
本連載では、研究会や委員会の会員や委員長が、それぞれの研究領域に関するグローバルトレンドを紹介していく。