新入社員に「よい習慣」を 身につけてもらうためには
新入社員がよい習慣を身につけるために、会社はどのような支援をすればよいのだろうか。日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)が2016年6 月に実施した「新人の『働き方』と指導者の『接し方』に関する意識調査」からうかがえる新入社員教育の現状を踏まえ、よい習慣の身につけ方や、人事・教育部門ができる支援について、JMAM の斎木輝之氏、小澤亜衣子氏、竹田洋介氏に聞いた。
成長のためのよい習慣とは
人が成長する一般的なプロセスについて、斎木氏は次のように説明する。
「初めの『知らない』状態から、ゴールである『使いこなせる』状態に至るまでに、〈知る→理解する→納得する→実行する→継続する〉というプロセスをたどる必要があります。人は理解できても、納得しなければ行動を起こしません。さらに、行動を繰り返すことによってスキルを使いこなせるようになり、会社の売上・利益に貢献できる人材へと成長することができます」
この成長のプロセスを着実に進めるために不可欠なもの、それがよい習慣である。
「普段仕事をしていると、失敗したり、上司から指導を受けたり、お客様からお叱りを受けることがあります。すると、心が不安定になるため、失敗や指摘を気にしないようにして心を安定させようとします。こうした反応は、精神を安定させる意味では大事なことですが、これをいつも繰り返していると、現状の自分を正当化するため、成長につながりません。これは悪い習慣といえるでしょう。それに対して、よい習慣とは、失敗や指摘された行動を振り返り、自分に足りない部分や課題を明確にし、経験を重ねていく中で少しずつ改善していくことです。一般的には、これを繰り返すことで人は成長していきます」