CASE 1 あいおいニッセイ同和損害保険 OJTノートを活用し、会社ぐるみで新人をフォロー プロフェッショナルを育てる 「真似る」「振り返る」習慣づくり
仕事の基本を学び、成長するうえで、不可欠な習慣がいくつかある。
あいおいニッセイ同和損害保険では、入社早々の新人にそれらを身につけさせるべく、長期にわたる合宿型研修を行い、配属後は1冊のノートできめ細かく成長を支える。
習慣づくりのユニークな仕組みと工夫を聞いた。
●背景 自ら研鑽するための習慣とは
あいおいニッセイ同和損害保険では、新人に「真似る習慣」と「振り返る習慣」を身につけさせている。
2010 年、あいおい損害保険とニッセイ同和損害保険の合併により、新たなスタートを切った同社。MS&ADインシュアランスグループホールディングスの中核事業会社として、「すべてのお客さまに高品質の商品とサービスをお届けし、一人ひとりのお客さまからの確かな信頼を基に発展する企業」を経営ビジョンに掲げている。
人事部人財革新グループの尾崎朋美氏は「全員がプロフェッショナルとして接しなければ、全てのお客さまに高品質なサービス、信頼を提供することはできません。ですから、全社員のレベルを一定水準以上に引き上げる育成を心掛けています」と話す。
人材育成の三本柱はOJT、集合研修、自己研鑽だが、同グループ長の中嶋督人氏は「まず自ら研鑽する姿勢を徹底的に培うことで、OJTや集合研修が活きてくる」と強調する。
自ら研鑽し、プロフェッショナルをめざすために徹底しているのは、冒頭に挙げた「真似る」「振り返る」習慣づくりだ。
まず、優秀な人の仕事の仕方を真似て自分のものにする。そのうえで自分の成功体験、失敗体験を振り返り、学びを血肉にしていくのである。
「教えられた知識、スキルだけでは現場の仕事はこなせません。電話応対にしても、マニュアルはあるものの、相手や状況によって受け応えは違ってきます。そこで先輩の真似をし、自分の応対を振り返ると、だんだんいろいろなパターンに対応できるようになってくる。新人には、できるだけ隣の先輩の応対や、録音された応対記録を聞いて真似しなさい、と伝えています」(尾崎氏)
●仕組み1 OJTノートをつける
2つの習慣を身につけ、実行していくために取り入れているツールが「OJTノート」だ(図)。同じチームで働くOJT 指導者と新人の交換日記帳で、5月の配属後から11月のフォローアップ研修まで、約半年間かけて活用する。
「2014 年度からスタートし、今年で4年目を迎える試みです。OJT指導者とは新人と年齢的に近い職場の先輩で、彼らがマンツーマンで新人育成に当たります。新人はOJT指導者と週1回ノートを取り交わし、密なコミュニケーションを図ります」(尾崎氏)
ノートは手書き仕様だが、あらかじめ記入項目欄が設けられている。