寺田佳子のまなまな 第12回 明治大学 副学長 牛尾 奈緒美さんに聞く 「私らしく」挑む勇気
今回のお相手・牛尾奈緒美さんは、アナウンサーを経て大学教授になり、現在は明治大学で副学長を務めるという華々しい経歴の持ち主。
新しい世界に踏み出す度に、悩みに正面から向き合い、「私らしく」挑戦を続けてきたと言います。
専業主婦から転身を果たした理由、見えてきたものとは―。
「私が副学長になるなんて…」
2016 年4月に、明治大学の副学長に就任した牛尾奈緒美さん。それまで、同大学の情報コミュニケーション学部教授、ジェンダーセンター副センター長として活躍してきたが、副学長となると、責任の重さも、社会的な影響力も大きく変わる。
副学長にと言われて、どんなお気持ちでした?
「えっ! まさかこの私に副学長のオファーが来るなんて、ってひたすらびっくりでした」
思いがけない申し出に「目が点」に。いろいろな方から推薦があったと言われても、「そうなんですかぁ……」と、消え入りそうな返事しかできなかった、と牛尾さん。それまで懸命に取り組んできた研究やゼミ生の指導を思いつつ、「このうえに副学長の仕事をするって、物理的に可能なのかしら? そもそも副学長の仕事って、どんなものなのかしら?」とたくさんの「?」が頭をグルグル回っていたのだから、当然と言えば当然である。
そんな時、ハッと我に返る言葉をかけられた。
「女性活躍推進について研究しているあなたが、こんなチャンスに勇気を持って挑戦せずにいるのは、おかしいのではないですか?」
―た、確かに……。
『女性は、責任ある役職を敬遠しがち。せっかくチャンスが来ても、挑戦する前に私には無理、と躊躇してしまう。そんなふうに、自分で自分に枠をつくるのはやめましょう!』
講演でこう女性に語りかけているのは、この私だ。なのに、自分自身が「やっぱり無理……」と逡巡するのは、確かに、おかしい。
「痛いとこ、突かれちゃったなぁ」
心の中で苦笑しながら、牛尾さんは明治大学での18年間の年月を想った。
―そういえば、18 年前に講師として採用された時、「あなたも、いつかは教授ね!」と周囲に言われて、やっぱり「えっ」とびっくりしたっけ。当時は教授なんて、はるか彼方の遠~い存在だった。それが、講師、准教授と、ひとつずつ上ってきて、気がつけば今、その教授になっている。