TOPIC-2 脳を知り、感情制御や行動に活かす リーダーシップ開発と 神経科学・マインドフルネス
近年、神経科学が注目を集めている。なぜなら、私たちの行動には、脳内の神経反応が密接に関わっており、それを知っておくことで、仕事での振る舞いや心身のケアに活かすことができるからである。
具体的には、何を知っておくと、何に活かすことができるのか。
特にリーダーシップ開発との関係に着目している、米国のリーダーシップ専門教育・研究機関CCL(Center for Creative Leadership)客員研究員のキャスリーン・クラーキン氏に聞いた。
リーダーシップ開発への活用
――なぜ、神経科学をリーダーシップ開発に活用しているのですか。
キャスリーン氏(以下キ)
神経科学とは脳の働きを研究する学術分野で、これまでは主に医療領域に活用されてきました。しかし最近では、より広い領域で活用されるようになっています。というのも、脳内の神経反応は、人の行動全般と密接に関係しているからです。
CCLでは、リーダーシップを開発する手法のひとつとして、360度診断などを使って、受講者の行動面の強みや弱みをフィードバックし、行動改善を促す方法を用いています。これは、受講者が自分の行動傾向への理解を深めるうえではとても有用です。
一方、表出している行動の大元についても理解することが重要です。人の行動は、感情やストレスによる脳内の生体反応と深く関係していて、こうしたメカニズムを理解することで、さらに行動変容を促進させることが可能になるからです。
そこでCCLでは数年前から、神経科学分野の研究知見を、リーダーシップ開発へ活用する取り組みを始めました。