Column 書家・プレゼンテーションクリエイターの 前田鎌利氏が語る デジタルとアナログ
ソフトバンク勤務時代、その優れたプレゼンテーション術から、社内認定講師と、孫正義氏のプレゼン資料作りを担当していた前田鎌利氏。
その後独立し、プレゼン講師として活躍中だが、「書家」という全く別の顔も持つ。
デジタルの「プレゼン」と、アナログの「書」、両方を駆使する氏に、それぞれのよさや相乗効果等について聞いた。
“念い”を伝えるもの
―プレゼンと書は、すごく異質なものに見えます。共通点はありますか。
前田
企業で行われるプレゼンは、課題解決や提案が主な目的ですが、ベースにあるのは企業理念、企業の“念い(おもい)”ですよね。書家としてご依頼いただく仕事も多くが、企業からの“スローガンや理念を書いてほしい”といったものです。自分の作品として書く「書」にも、もちろん僕の念いが詰まっている。つまり書もプレゼンも“念いを伝えるツール”ですから、僕の中では大きな違いはないんです。
ちなみに、頭でただ考える「思い」などとは異なり、あることを始終強くおもい続ける際の感情、という意味で、「念い」という字を使っています。
表現の“幅”が違う
―では、プレゼンにおけるアナログとデジタルの違いで、重要なことは。
前田
デジタルのプレゼンの最大の魅力は、アニメーションや動画を使って臨場感を出せることです。受け取る側の、驚きや共感といった“感情の幅”が飛躍的に広がります。
一方、講師として伺う企業の多くが紙の資料を配ってプレゼンしています。しかしそれでは表現の幅が減りますし、“コピーしてホチキスで止める”“保管する”“探し出す”など、資源や場所、時間のコストもかかります。ですからデジタルへの移行を強くお薦めしています。