OPINION2 市が先導するデジタル学校教育 ICTで“4C能力”と表現力、 課題解決力が育成できる
「教育日本一」を旗印に、先進的な学校教育を行うつくば市。
その原動力と言えるのが、充実したICT教育だ。
全国に先駆けて市内の全小中学校に電子黒板を設置。
各種ICT機器が日々の授業に日常的に用いられている。
ICTを活用して、子どもたちのどんな能力を伸ばしているのか。
同市の取り組みと、その活用のポイントを、市原健一市長に聞いた。
まちづくりは人づくり
教育というと、長岡藩の「米百俵」の逸話がまず思い浮かぶ。北越戊辰戦争に敗れた長岡藩は、石高を5万石減らされ財政が窮乏。藩士たちは、食べるものにも事欠く状態となった。窮状を見かねた長岡藩の支藩、三根山藩から百俵の米が贈られたが、藩の大参事、小林虎三郎はその米を藩士に分け与えず売却し、学校設立などの費用に充てることを決める。抗議する藩士たちに虎三郎は、「百俵の米も、食えばたちまちなくなるが、教育にあてれば明日の一万俵、百万俵となる」と諭し、自らの信念を貫いたという。
教育の意義は、まさにここにある。すぐには結果が出なくても、目先のことにとらわれずに人に投資をしていくことが、将来の発展につながる。そこに住む人々の人格、考え方、社会に対するものの見方が、まち自体の活気や環境、先進性などを生み出していく。「まちづくりの基本は人づくり」―これは、私のモットーでもある。
40年前からICTを活用
その人づくり、すなわち教育に積極活用しているのが、ICTだ。
つくば市が学校教育にICTを取り入れたのは古く、1977年にさかのぼる。現場の先生方が自分たちでコンピューターを組み立て、教育に活用しようと試みたのが始まりだと聞いている。
2005年には、「電子黒板」を全国に先駆けて全ての小中学校に導入した。市内のモデル校を私が視察した際に、試験的に設置されていたのを目にしたのがきっかけだ。電子黒板があれば、別の場所で作成した資料や個々の生徒のデータを映し出すこともできるし、書いた内容をプリントアウトするのも簡単だ。先生方の工夫次第で、さまざまな活用が考えられる。現在は、日々の授業に用いるほか、電子黒板を活用した「プレゼンテーションコンテスト」(後述)も開催している。
タブレット端末、デジタル教科書、テレビ会議システム、オンライン学習システムなどの整備と活用法の研究も進めており、子どもたちは、日常的にICTを使って学習している。
近年力を入れているのは、電子黒板のさらなる活用法の研究や、家庭学習などに使えるオンライン学習システムの拡充、機器の整備など。教育委員会と連携し、積極的に取り組んでいる。
伸ばそうとしている能力
誤解しないでいただきたいのは、ICTのスキルを身につけさせることだけが目的ではないということだ。ICTはあくまでも“ツール”であり、子どもたちの能力を育むうえで有効であるため、ICTを活用している。
伸ばそうとしている能力も、具体的に想定している。つくば市では、子どもたちの人格形成において重要な能力として、“4C”を掲げている(図1・2)。