寺田佳子のまなまな 第10回 プロマラソンランナー 原田拓氏に聞く 「人生のフルマラソンの走り方」(後編)
前回から引き続き登場の、プロマラソンランナー 原田拓さん。
オリンピック選手のトレーニングパートナーやホノルルマラソン出場を経て、競技者時代には見えなかった、「走り」の新たな世界を知ったといいます。
変化を恐れず挑戦する原田さんが掲げる、次なる野望とは。
距離を置いて分かったこと
プロマラソンランナー原田拓さんが主宰するランニングスクールで、死にもの狂いで挑戦した初めてのタイム・トライアルについては、前編でご紹介した通り。ハァハァ息を切らしながらも、ランニングは戦略が大切であることを肌で学び、「スゴ~イ!」という熱い声援に迎えられ、すっかりその気になってハイタッチでゴールしたが、
「本当のゴールは、この先にあるんです」と、原田さんに言われて、
「どっ、どこに?」と、流れる汗を拭いながら、キョロキョロしてしまった私である。
さて、その本当のゴールについて説明するには、ランナーとしての原田さんのこれまでを語らなくてはならない。
原田さんは、中学時代、1つ上の兄に憧れて長距離走を始めた。大学では箱根駅伝、実業団ではニューイヤー駅伝を走り、ランナーとして最高の舞台を経験する。
「アスリートとしてのゴール」を順調にクリアして、イケイケな感じでしたよね?
「それが……。めざしていた大会を走り終えた時、何だか一段落したような気持ちになってしまって」
ゴールの先を見失ってしまったのか。なんと原田さんは、実業団を辞めて約1年間、全く走らない生活を送る。
しかし、「走る」ことから距離を置いてみて分かったことがあった。それは、
「自分が一番輝くのは、やっぱりマラソンの世界だ」ということである。