おわりに 今こそ、社員の「働き方改革」に舵を切れ!
支援が女性の活躍を阻害する
「いかに女性の活躍を促すか」―。2016年4月に全面施行された女性活躍推進法も後押しし、今、多くの企業がこのテーマに本気で向き合っている。そのための取り組みには、「育児との両立支援」という面と、女性の積極的な「登用・キャリア形成」という面があるといえる。日本企業の女性活躍について、この両面を比べた時、制度の導入や運用が進んでいるのは「両立支援」だろう。法定期間(育児休暇1年、時短勤務は子どもが3歳未満)を超える制度を設ける企業も少なくない。
したがって、大手企業を中心に、女性が子育てと両立しながら働き続けることは、難しくなくなりつつある。そこで次に出てくる問題は、両立しながら働く女性たちが、「登用・キャリア形成」のチャンスから遠ざかるという点だ。時短で働く女性は、フルタイムで働く社員に比べ活躍の機会を与えられず、“マミートラック”に陥り、将来のキャリアを描けない。結婚・出産前の女性たちでさえ、いつか第一線から離れてしまうからと、成長につながる仕事を任せられなくなってしまう。
もちろん、育児と両立するために、仕事を控えめにしたいという女性もいるだろう。だが、本当はもっと働きたいというフラストレーションを抱えながらマミートラックに陥っている女性は少なくない。
“両立支援”が抱える問題
さらに、両立支援の充実・浸透により噴出してきた問題が、職場の不公平感である。時短勤務社員とフルタイム勤務社員の仕事量や勤務時間に差が生じ、フルタイム勤務社員から不満の声が上がっている職場もある。いくら女性の両立支援制度が整っていても、そのような職場では気持ちよく働くことはできず、真の意味で女性が活躍しているとはいえないだろう。