CASE 2 サントリーホールディングス 意識と働き方を変革 周囲を巻き込み “フルモード”の活躍を応援
手厚い子育て支援策を打ち出すサントリーホールディングス。
テレワークやフレックスタイム制など、働き方の柔軟性も高い。
しかし、子育て中の社員に“ 甘い”会社かというと、そうではない。
働きやすさを追求する一方、どんどん仕事を任せ、組織ぐるみでキャリアアップを応援する仕組みが特徴だ。
●取り組みの背景 「働きやすいだけではダメ」
サントリーホールディングスは、2010年に「ダイバーシティ経営」への転換を宣言。多様な人材の活躍を推進するため、「働き方(ワークスタイル)」「マネジメント」「一人ひとりの考動」の革新とそのための基盤整備に取り組んでいる。
同社のダイバーシティ経営の特徴は、多様な人材が働きやすい環境を整えるだけでなく、しっかり活躍してもらい、会社の成長につなげる方針を打ち出していることだ。
特に社員の2割を占める女性の活躍推進は、重要なテーマである。
「かつては多くの女性がライフイベントに応じて退職しましたが、今はずっと働き続ける時代です。また、当社は、総合職・一般職の区分がないうえ、優秀な女性も数多くいますので、彼女たちに活躍してもらわないともったいない。ですから、ただ、働きやすいだけのゆるゆるとした環境にするのでなく、能力を発揮してもらえるよう仕組みを整えています」(人事本部ダイバーシティ推進室室長 弥富洋子氏)
「女性が働きやすく、かつ成果を上げている会社」をめざす同社では、“復職後の早期フルモード化”のため、2つのポイントに重点を置いている。
1つめは、女性社員のより高い業務への意識を醸成すること。2つめは、上司や男性社員などさまざまな人を巻き込みつつ、活動の輪を広げることだ。
●全体像 現場を巻き込んで推進
取り組みの全体像を見てみよう。まず部門トップにヒアリングし、課題認識を進め、問題を整理した。さらに2011年にダイバーシティ推進室を設置、人事部と連携し、施策を展開している。
手始めに何が必要かを現場から自発的に議論する次の3つの小集団活動を立ち上げた。
①短時間勤務を行う女性によるプロジェクト
②女性の活躍が進んでいない営業部門の女性によるプロジェクト
③子育てに関心のある社員のプロジェクト
自発的なプロジェクトの形式にしたのは、自分たちで取り組まなければならないという意識づけを行い、現場の意識を変えるためでもある。子育て中の女性だけではなく、あらゆる立場の人の声をすくい上げている点は、特徴的といえるだろう。