めざせ☆経営型人事 書籍に学ぶビジネストレンド 第41回 今こそ「財務力」に向き合おう
ビジネスのトレンドを知っておくことは、経営や人材を考えるビジネスパーソンにとって必須である。
本連載では、データバンクに勤め、1日1冊の読書を20年以上続けてきた情報のプロが、最新のビジネストレンドと、それを自分のものにするためのお薦めの書籍を紹介する。
近年、財務知識、会計知識といった「財務力」を鍛えようという風潮が高まっていると感じる。本連載では、発刊される書籍のトレンドからビジネスパーソンの必須能力を捉えているが、この「財務力」は紛れもなく、長年にわたり上位に位置するスキルだといえよう。
10年以上前になるだろうか。ある外資系企業の日本法人トップの方から「欧米と比較して、日本のビジネスパーソンに足りない能力は何だと思うか」と問い掛けられた。私なりにいくつかの答えを挙げたが、先方の答えはそれに反し、「おそらくマーケティング力と財務力だと思う」というものだった。当時、とてもハッとさせられた。今でも、折に触れこの言葉を思い出す。
私自身、ほぼ日課となっている書店の店頭チェックで、ビジネスパーソン向けの財務・会計本の新刊を見掛けるたびに「やはり、いつの時代もこのスキルは重要だな」と考えさせられる。
「財務力」は、これまで本連載で取り上げてきた「英語力」や「哲学」と同じくらい重要なテーマだと言える。故に関連書籍が多数刊行され、ビジネス雑誌のスキル特集でも定番となり、関連セミナーも花盛りである。
だが、「財務力」を鍛えることを避けてきたビジネスパーソンは意外に多いのではないか。経営者層や財務・経理担当者を除けば、それほど必要でないと考える人は多いのだろう。
なぜ学ぶ必要があるのかといえば、この力が、間違いなく「経営センス」の基礎となるからだ。期待する人材には「財務力」をマスターさせなければならないし、おそらく優秀な人材はそのことに気づき、自分で学び始めるだろう。
自社の経営状況だけでなく、競合他社や取引先の強み、課題、変化といった状況、産業全般の動向を「数字」というファクトで把握できるというのは重要なことだ。これがビジネス戦略立案に役立つことは、疑う余地がない。
さて、財務関連書籍を分類しておこう。
①最初に読むべき必読書籍