外国人材の心をワシづかみ! 日本発のマネジメント 第1回 アジア太平洋の勤労観をつかむ
世界の人材争奪戦において世界に遅れをとる日本。
打開策は現地の人々のより深い理解、そして日本企業ならではの育成、伝統にある――。
異文化マネジメントに精通する筆者が、ASEANを中心としたグローバル人材にまつわる問題の解決法を解説します。
4流人材しか採れない!
「我が社は日本では一流と言われていますが、ここシンガポールでは4流人材しか採れないのです」―これはある総合商社のアジア太平洋統括人事部長氏の告白です。人材獲得競争において、日本企業は世界中で大苦戦を強いられています。ご存じの通り、外国人社員を惹きつける両輪である「報酬」と「昇進機会」で、好条件を示せないためです。
欧米企業がひしめく東南アジアでは、高付加価値な業務を担うことのできる現地人経営幹部の報酬が、日本企業のレベルを超えるケースが増えてきています。例えばインドネシアの役員の報酬は諸手当込みで年3000 万円近くが相場と、日本の大企業の2000 万円超を上回っています。また、車の両輪のもう一方の昇進機会においても、主要ポストの多くは日本人が占めているのが実情です。
解は我々の中に既にある
2つの致命傷を抱えつつ、外国人材を獲得し定着させる手段はあるのでしょうか?この問いへの答えを明らかにすることが本連載の目標の一つです。先走るようですが、その答えは、自社の製品やサービスの土台となっている、伝統や文化、こだわりの中にこそあります。自社のDNAを国際的に通じるロジックを通して披露すれば、深く共鳴する才能は必ず現れます。
日本企業とは全く異なる土壌から発した欧米の異文化理論やカタカナ経営手法を求め続けても、決してうまくいかないことに、もう私たちは気づいているのではありませんか?
本連載では、外国人社員の日本的なマネジメントについて解説していきます。以下のような内容です(一部)。
・向き合う際の基本的なスタンス
・相互信頼が深まらない核心的理由
・5大動機づけ要因
・日本文化×自社流儀を核にした組織開発
・グローバル人材育成を内製化し、自社版にする方法