寺田佳子のまなまな 第6回 華道家 ベルスマ敦子氏に聞く 「花にいかされて世界を結ぶ」
今年は日本・ベルギー友好150 周年。
文化交流の歴史を象徴する催しが両国で行われます。
そこで今回は、ブリュッセルを拠点に活躍する華道家・ベルスマ敦子さんに、「いけばな」を通して見た、日本と海外の学びの違いについてお話を伺いました。
誰に対して、何のために
草月流ならではの前衛的なカタチの中に、独特の神秘性を感じさせるベルスマ敦子さんの「いけばな」。ひと目見た時からファンになったその作品はどんなふうに生まれるのだろう?
そのプロセスを間近に拝見できるとあって、
「本日の花材は、黄色いオンシジウムと紫のフリージア、白いキウィのつる、と……」と、メモを片手にスタンバっている私に、
「後ろからいけましょうか? それとも前から?」とベルスマさん。
え、後ろから?
のっけから驚いてしまったが、いけばな草月流では、観客を前にしてのデモンストレーションは常に後ろから花をいける「後ろいけ」という方法で紹介するのだそうな。
さすがは、海外の400 人以上に“いけばな”の魅力を伝え、現在も14 カ国60 人のお弟子さんの指導や、“いけばな”のデモンストレーションで、欧米の「いけばなファン」を魅了し続ける華道家である。「誰に対して、何のために」を明確にするところから「花をいける」ことは始まるのだ、と早速メモする私。
「よろしいかしら?始めて」
あっ、はい、よろしく……とお願いするやいなや、キウィのつるを左右に羽ばたくように挿したかと思うと、迷いなく次々と花を花器に入れていく。