業界別育成課題とポイント 資格試験と大学課程で 信頼される代理店・募集人を育む
製販分離――。損害保険業界は、保険商品を作る損保会社とそれを販売する損害保険代理店(募集人)が分かれているのが特徴だ。
総数約206万人という多数の募集人の人材育成は、どう進められているのか。
日本損害保険協会に聞いた。
損保業界とビジネス環境
日本損害保険協会(以下、損保協会)では、昨今の日本と業界を取り巻く環境変化を鑑みて、2015年度に「第7次中期基本計画」を策定。2017年度までの3カ年にわたる取り組みとして、「超高齢社会」「新たなリスク」「グローバル化」「自然災害」「保険犯罪」「新たな募集態勢の構築」「消費者教育」などをキーワードとした重点課題を掲げた。
2番目の「新たなリスク」とは、技術革新により新技術が実用化されることで起こるさまざまな影響を指す。例えば、自動車の自動走行システムが普及すると交通の安全性が向上することが考えられるが、これにより自動車保険の在り方も大きく変化する可能性がある。
また、「保険犯罪」では組織的な犯罪の増加、手口の巧妙化が進んでおり、詐欺被害や不正請求排除のためのシステムづくりが重要となっている。
損保協会の募集・研修サービス部長の岩崎武氏は、業界を取り巻く変化の影響に関連して、こう述べる。
「“直扱”と呼ばれる保険の販売方法があります。損害保険会社が直接保険を募集する形態で、インターネットを活用した通信販売もこれに含まれます。2014年度は、この直扱による保険料の割合は8.1%しかありません。しかし、現在は小学校でパソコンを学ぶ時代ですから、今後、インターネットによる保険契約が大きく伸びることも考えられます。
さらに本年5月には改正保険業法が施行されます。同法では、保険を販売する募集人に募集プロセスの各段階で従来よりもきめ細かな対応を求めています。
つまり、さまざまな環境の変化に伴い、募集人に必要とされる知識・業務スキルも高度化しているということです。業界として、いかに募集人のレベルアップを図っていくのかが、大きな課題となっています」