人事の職場拝見! 第61回 百五銀行 基礎を固めながら固定観念を打ち破る 変革をもたらす、しなやかな育成施策
三重県と愛知県を中心に展開する地方銀行の百五銀行では、“人の力”で他行との差別化を図る。
そのカギは、変革を視野に入れた発想力と行動力のある行員の育成だ。
若手行員の早期育成
百五銀行は、三重県津市を本拠とする地方銀行である。地域のメーンバンクとして利用者からの信頼も厚い。背景には、行員一人ひとりの“人としての力”が存在する。
人事部人材開発課長の北澤浩二氏は、「どの銀行も“お金を扱う”という点では大きな違いはなく、最後は“人の違い”が信頼の決め手となります」と話す。
そのため、同行では若手行員の早期育成に力を入れる。入行初期は基礎の定着がテーマだ。あいさつやビジネスマナーの習得はもちろんのこと、新人研修で、店舗を再現した机でオペレーションを訓練したり、2年目には基本行動の振り返り研修を行ったりする。
「しかし、『これさえできれば良い』というふうには考えていません。最も大切なのは、お客様のニーズに共感しつつ状況を正しく判断し、ベストなサービスを提供できること。研修で扱うことはあくまでベースであり、行員たちの資質を引き出すきっかけに過ぎません。特に最近は、豊かな発想力とそれを形にする行動力の醸成が大切だと感じます」
地域構造が変化し、顧客のニーズも多様化している。時代の変化にしなやかに対応できる力が求められているのだ。