業界別育成課題とポイント 鍵はスーパーバイザーや 外国人材の育成・活用
業界・業態によって、必要とされる能力や専門知識とその教え方は異なる。
その違いを紹介する連載の第1回目は、多種多様な業種・業態の企業が加盟する日本フランチャイズチェーン協会に、人材育成の取り組みについて聞いた。
育成ノウハウを個社が持つ
コンビニ、飲食店から不動産仲介店舗に至るまで、フランチャイズチェーン店の業種はさまざまで、誰もが日常的に利用している。
直営店とフランチャイズ経営の店舗では、そもそも何が違うのだろうか。日本フランチャイズチェーン協会(JFA、以下同)専務理事の伊藤廣幸氏はこう語る。
「店舗の外見からは区別がつきませんが、チェーン店の事業形態には直営とフランチャイズの2つのタイプがあります(図1)。“直営”は本部も店舗も同一の会社で、その組織はピラミッド構造。たとえ店舗数が数百を超えても、トップからの指示命令は全ての店舗に届きます。
一方、“フランチャイズ”の場合、本部企業と加盟店(店舗)はそれぞれ独立した事業者であり、対等なビジネスパートナーです」
フランチャイズ契約は、その商売を開発した本部企業(フランチャイザー)と、個人経営を中心とする加盟店(フランチャイジー)の二者間で行われる。加盟店は一定のロイヤリティを支払うことで、一般に広く知られているチェーン名や商標・マークを使って商売ができるだけでなく、店の経営に必要なノウハウやさまざまな指導・援助を本部企業から受けることができる。
「経営ノウハウの中には、アルバイトの採用や育成のノウハウが含まれます。例えば新人研修の方法や給与などについてもきめ細かくマニュアル化されているため、人材育成のことを何も知らないオーナーさんでも、店舗の経営が始められるのです」
フランチャイズビジネスと一言でいっても、その業種は小売業、外食業、サービス業と多岐にわたっている(図2)。そのため、店舗の従業員にどのような人材がほしいのか、どんなふうに教育するかといったことは、チェーンごとにそれぞれ異なる。そのノウハウを本部企業が持っているからこそ、フランチャイズビジネスを展開できるのである。