負けないマネジャーのための孫子 第18回 「危機感」で有事を乗り切る教え
社員が安穏として危機感に欠けていると感じる経営者は多いものです。
どうすれば危機感を抱かせることができるのでしょうか。
有事に能力を発揮させるには
今月の章句は、個々の社員が常日頃から危機感を抱いていれば、厳しさを増す経営環境や有事の際でもうまく乗り切れるという教えです。
「衆は害に陥りて然る後に能く勝敗を為す」の「害」とは、ビジネスの場面でいえば、不祥事などのトラブルやミス、業績不振や赤字といった有事の状況を指します。「能く勝敗を為す」は、有事に陥った際に危機感を抱いた各人が、持てる能力をフルに発揮して窮状を打破できるか(勝)、あるいは逆にプレッシャーに押しつぶされてさらに事態が悪化するか(敗)。それは、その人次第だということです。
人間、逃避できない厳しい状況下では、やり抜くしかないと覚悟し、全力を尽くすものですが、必ずしも社員が自然にそうなるとは限りません。マネジャーは、社員が平時からそのような姿勢を持つように、差し向ける必要があるのです。
能力を発揮させる2つの工夫
今月の章句の前段部分を眺めると、そこに能力を発揮させる2つの工夫が見てとれます。