寺田佳子のまなまな 第3回 日本大学生産工学部創生デザイン学科 三井和男教授に聞く 「幸せなキモチの構造デザイン論」(前編)
今回のお相手は、寺田さんが「プレゼンテーション」の授業を受け持つ、日本大学生産工学部創生デザイン学科で、構造設計を研究する三井和男教授です。
「アートとテクノロジーの融合」「柔らかい工学」というユニークなテーマを掲げる学科の、ユニークな学びのお話を、ユニークな研究室で伺いました。
アイデアをすぐカタチに
三井教授の研究室は愉快で美しい。不思議なカタチ、面白いデザインが溢れ、しかも全体がオーケストラのように調和し、何とも心地良いからだ。
教授の好奇心の幅広さを証明するように、サイコロのようなもの、ランプのようなもの、ボールのようなもの、尿し瓶びんのようなもの(教授曰く!)……。と、本当は何だか分からない「のようなもの」がたくさん並んでいる。
だから、一つひとつを手に取って、「これは?」「へぇ!」「どうやって?」「すごいですね!」と、ひとしきり「びっくりポン」の連続をしてからでないと、本題に入れない。
ちなみに先ほどの「尿瓶のようなもの(!)」は陶器でつくったiPhoneスピーカーだそうで……(汗)。
その教授、学生が3Dプリンターで製作した水差しをしみじみ眺めて、
「アイデアがひらめいたら、すぐプログラムを書き、そしてカタチにする。そのサイクルの早さに、今、ものすごくワクワクしてるんです」
と、実に楽しそうなのである。
こんな三井教授のワクワクに、最初に火がついたのは1964年のこと。そう、東京オリンピックの年だった。
親戚中がみんな建築関係という環境で育ち、ごく自然に建築に興味を抱いていた小学5年生の三井少年は、国立代々木競技場を間近に見上げて、その流れるような美しさと迫力に圧倒され、思わずこうつぶやいた。
「いいなぁ~。こういう仕事がしたいなぁ~」