人事の職場拝見! 第60回 豊田自動織機 ギャップを解決し、社員と組織が共に成長 「仕事の仕方」を浸透させるしくみ
自動車や産業車両、繊維機械の生産を手掛ける豊田自動織機には、若手に基本的な価値観と仕事の進め方を教える文化と、育成を連鎖させるしくみがある。その方法とは。
「共通の価値観」を主眼に
トヨタグループの発祥である豊田自動織機。社祖・豊田佐吉氏の精神を明文化した社是「豊田綱領」は、現在も全ての社員の行動・判断のよりどころとなっている。人材育成も、社是に基づいた「共通の価値観」の醸成に主眼を置く。
人事部人材開発室室長の栗山泰司氏は、その背景をこう語る。
「『豊田綱領』の根底には『人間性尊重』の精神が流れており、その精神は豊田自動織機が大切にする共通の価値観として、あらゆる人事労務管理施策に反映されています」
共通の価値観は、「仕事の仕方研修」で教える。この研修は問題解決力を養成することが目的の1つだが、人事部人材開発室研修グループグループ長の高橋勝則氏によると、あえて「仕事の仕方」としているのには理由がある。
「“めざす状態”と“現在の状態”とのギャップを『問題』と定義し、問題を解決(改善)することが『仕事の仕方』だと位置づけています。そして、問題解決をし続けることは、継続的な一人ひとりの能力や会社の競争力向上につながります。一人ひとりが考え、行動し、問題を解決する達成感を味わうと同時に、また新たな問題に取り組むことで成長していく、まさに人間性尊重の精神の反映なのです」
「仕事の仕方」には問題を解決する基本的な8ステップと、その際の10の心掛け・心構えがまとめられており、その姿勢・能力を一人ひとりが習得するために、会社・上司がさまざまな機会を通じて、サポートしている。また、多くの社員を巻き込むことで、同社の共通言語として浸透を図っているのである。