JMAM通信教育優秀企業賞 表彰企業事例報告 グローリー 「気づき」と「自律」で イノベーティブ人材を育成
「学ぶ風土」を醸成している組織に贈られる「通信教育優秀企業賞」。
今回紹介するのは、日本初となる硬貨計数機の開発に続き、数々の画期的な新製品を相次いで開発してきたグローリーである。
同社は通貨処理機に関して国内シェアの約7割、金融機関向け紙幣入出金機でも世界シェアの6割を占めるトップメーカーだ。
高い技術力で常に市場を開拓し続ける同社は、研修や通信教育を工夫し、イノベーティブな人材を育んでいる。
常にイノベーションを追求
「当社の歴史は、革新的な技術開発に対する挑戦の連続と言えます。例えば単能機からシステム機へ進化した窓口用入出金機やオープン出納システムなどを開発、さらに流通業界では新人でもレジ担当を可能としたつり銭機を提供してきました」と、人事部長の八津谷吉博氏はこれまでの歩みを振り返る。
常に新たな技術を開発することで、他社の追随を許さず、業界内でも際立ったポジションをグローリーは確立している。とはいえ、現状に決して安住することなく、次のイノベーションを追い求める。そのカギとなるのは人材だ。だから人を育てるための投資は惜しまない。
「イノベーションを起こせる人材に不可欠なものは“チャレンジスピリッツ”でしょう。これほどまでに変化が速く激しい状況では、潮目が変わるのを待ってから対応するのではなく、自ら変化を引き起こす気概が必要です」と説明する大河原勲氏に、山本正昭氏は「社長の口ぐせも『どんな環境でも信念を持って、ひたむきに取り組み挑戦できる人材がほしい』ですから」と付け加える。
昨今、同社の主要顧客である金融機関と流通業界では、店舗統廃合の動きが加速している。国内では市場は飽和状態に近づいている。売り上げを伸ばすには、国内に向けては高付加価値製品の開発と海外でのさらなるシェアアップが求められる。いずれにおいても、イノベーティブな人材が必要なことは明らかである。
“多様性”で気づきを与える
イノベーションを引き起こすには何が必要か。要件はいくつもあるが、グローリーでは「気づき」と「自律」を重視し、そのための仕組みを整えている。
「当社では研究開発、生産技術、営業、フィールドエンジニア、インストラクターなどの職種に高卒から大学院卒まで幅広く受け入れています。この多様性が、気づきをもたらすきっかけのひとつとなります」(八津谷氏)
●多様な人を混ぜた“4年目研修”
例えばフィールドエンジニアとして採用された高卒と、研究職に就く大学院卒が同じ年に入社し、4年後に研修で顔を合わせるとどうなるか。入社時点では6歳も年上だった院卒組が、高卒組の成長ぶりに激しくショックを受けることになる。入社直後から毎日顧客と直接接してきたフィールドエンジニアは、伸び盛りの年代であることも相まって一気に成長する。これに対して、社内で研究、開発に没頭していることが多い院卒組は、お客様と直接接する機会が少なく、外からの刺激を受けることが乏しいからだ。
しかし、刺激を受けると意識が変わる。4年目研修が終わると、今度は院卒組が大きく変わるという。