組織と個人の問題に効く! 心理学ミニゼミナール 第5回 思い込みの力
心理学の理論は、人事・人材開発の仕事にとって重要な手がかりです。
そこで、“使える”知見を、心理学ジャーナリストの佐々木正悟氏が解説します。
第5回 思い込みの力
治るはずがないのに治る
風邪にかかって病院に行くと、医者から抗生物質を処方されます。きちんと指示された通りに飲んで、3日と経たず治ったとします。当然、私達はそれを「薬のおかげ」と考えますが、そう単純な話ではありません。
2003年にアメリカで行われた研究によると、抗生物質が処方された30%以上のケースで、実はその抗生物質は何の効果も持っていなかった、という報告がなされました。
しかし私達は、薬を処方してもらったからこそ、病気が治ったと考えます。実際には効果がないはずの薬が、症状を治す―これを「プラシーボ(偽薬)効果」と言います。