CASE 2 三菱電機 継続は力なり! 会社、健保、労組の 「三位一体」+「現場」の総力戦
15年目を迎える三菱電機の健康経営の取り組み「MHP21」。
会社、健保、労組の三者が連携し、ゴールとデータを共有して進めてきた。
一方で具体的な活動内容は現場に一任する。
長年にわたり活動を継続し、成果を得られた秘訣とは。
●取り組みの特徴 三者がひとつにまとまって
1970年代から社員の健康づくりに取り組んできた三菱電機。本格的に健康経営をめざす取り組み「三菱電機グループヘルスプラン21(以下MHP21)」をスタートしたのも2002年と早い。開始から10 年の節目を迎えた2012 年からは、新たに5カ年計画としてのステージⅡを進めている最中だ。
この取り組みのユニークな点は、三菱電機と同社健康保険組合、さらに労働組合の三者協働により運営されていることだ(図1)。会社と健保の連携によるコラボ・ヘルスは徐々に広がりつつあるが、労組を巻き込んだ活動は独自といえよう。
「生活習慣や食生活の向上、休養といった健康づくりを、一人ひとりの社員が早い時期から意識し、結果として生活の質を高めつつ『健康企業』をめざす、というのがMHP21の趣旨です。従業員が日々健やかに働けて、医療費も削減できるわけですから、会社、健保、労組の三者にとって意義ある活動だと思います。同じ目標に向かうからこそ、取り組み自体が長続きし、成果も上がってきたと考えています」と人事部安全健康グループマネージャーの佐藤宰氏は説明する。
現在は安全衛生管理計画や労組の運動方針にMHP21が組み込まれている。
「会社(人事部)は推進役を務め、実際の運営の中心は予算管理を含めて健保が行う。そして、労組は事業所など組織ごとの取り組みを発案したり、社員の生の声をフィードバックしたりしています」(佐藤氏)
早くから連携活動に取り組んできた背景には、健保が抱える深刻な課題があった。
「当社の健保にはおよそ24万人の加入者がいますが、扶養者数は被保険者とほぼ同数。特例退職制度の加入者も3万人超に上ります」(健康保険組合事務局長の大森義文氏)
特例退職制度とは、定年後、75歳まで在職中と同様の保険給付や健康診断等を受けられるという制度だ。加入者の数の多さに加え、高齢化もまた、今後ますます大きな負担となる可能性が高い。
この状況にメスを入れるべく立ち上げられたのがMHP21である。スローガンは「生活習慣 変えてのばそう 健康寿命」。単に長生きすることをめざすのではなく、高齢になっても元気で自立した日常生活を営める「健康長寿」が目標だ。
●取り組み内容 5つの重点項目
MHP21の取り組み内容を見てみよう。具体的には、次の5項目の健康目標を設定し、施策を展開している。
①適正体重
施策例/「毎日体重を計ろう月間キャンペーン」「会社給食にヘルシー食の導入」など